[北京 27日 ロイター] 中国政府は27日、「条件が整えば」同国初となる不動産税を全国規模で導入する方針を発表した。全国に先駆け、上海市と重慶市で1月28日付で導入される。
両市で導入される不動産税は、新たに購入する2軒目の高額物件を対象とし、税率は価格の0.4─1.2%に設定される。
不動産価格は、食品価格とともに同国の主要なインフレ押し上げ要因となっており、政府は物価高騰に対する国民の不満解消に向け、インフレ対策を強化する方針を繰り返し表明してきた。
重慶市の黄奇帆市長は記者会見で「不動産税の導入で早急に住宅価格が下落することはないが、住宅市場における投機的な動きの抑制にはつながる」と述べた。
上海市と重慶市はそれぞれ声明を発表し、不動産税は、住宅価格と平均市場価格との比較に基づくとした。
上海市では、新たに2軒目の住宅を取得する場合、0.6%の税金が課される。ただ、価格が平均市場価格の2倍以下の場合、税率は0.4%となる。
重慶市では、新たに2軒目の住宅を取得する場合、価格が平均市場価格の2─3倍の場合の税率は0.5%、3─4倍の場合は1%となる。最高税率は1.2%。
キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は、予定される不動産税の税率は市場予想に沿ったものだったとしながらも、投機筋の動きを封じ込めるには税率が低すぎ、対象範囲が狭すぎると指摘。「多くの人が不動産に資金をつぎこむのは、これに代わる投資対象がほどんどないからだ」と述べた。
同氏は「預金は投資リターンが少なすぎ、株式市場には疑念がつきまとう。このため、資金が不動産市場に流れる。不動産税の導入でこうした構造が基本的に変わるとは思えない」としている。
一方、Hongyuan証券(北京)のアナリスト、He Yifeng氏は「同税の導入後、政府は比較的簡単に税率を調整することができる」とし「当初は大きな効果はない可能性があるが、住宅価格が高止まりした場合、価格を引き下げるために政府は税率を徐々に引き上げることができる」と述べた。
財政省、税務局、住宅都市農村建設省が発表した共同声明によると、不動産税の規模や実施日については、地方政府が決定する。
声明では、不動産税の導入が中国の所得格差是正に寄与し、税収は地方政府の予算に組み込まれると説明した。