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東証1部企業11年3月期業績予想は52.9%経常増益、さらに上振れも

 大林 優香

 [東京 16日 ロイター] 企業業績が上振れしている。みずほ証券リサーチ&コンサルティングによると、現時点までに発表した東証1部上場企業の2011年3月期業績は前期比52.9%の経常増益の見通しで、事前予想の46.7%増益を上回った。

 中国など新興国の需要拡大や米国の景気回復で輸出企業を中心に収益が改善しているため。1─3月期は前年同期比12.7%の減益予想と慎重な見方を示す企業が多いが、4─12月期実績の通期予想に対する進捗(しんちょく)率は82.9%に達しており、通期増益率はさらに上振れし、株価押し上げ要因になる可能性もある。 

 みずほ証券リサーチ&コンサルティングがまとめた11年3月期決算集計(東証1部・除く金融)によると、14日までに決算内容を開示した1192社(対象はデータ取得可能な金融を除く東証1部上場企業、全1193社で開示率は99.9%)の今期業績見通しは、経常利益が前期比52.9%増となった。売上高予想は同6.2%増で12月末時点の事前予想と変わらずだが、営業利益は事前予想の42.7%増を上回る47.3%増、純利益は同89.3%増を上回る95.6%増となった。

 経常利益ベースで事前予想と比較した場合、上方修正が18.9%、据え置き72.6%、下方修正8.6%となり、上方修正が下方修正を上回った。全33業種のうち、通期で減益になるのはパルプ・紙、医薬品など4業種にとどまり、輸出関連のみならず内需系も広く収益改善を見込んでいる。

 通期予想が上振れたことについて、みずほ証券リサーチ&コンサルティングの稲垣智博クオンツアナリストは「自動車など輸出関連企業が新興国の需要増で想定以上に収益を拡大しているため」と分析する。1─3月期は円高の継続や資源高の影響などで減益が見込まれているが、稲垣氏は「リーマンショック以降の合理化策で企業の収益体質は全般的に強化されており、円高や資源高への抵抗力も高まっている。1─3月期はかなり低めの予想数値で、4─12月期実績の通期予想に対する進ちょく率が過去と比べ高水準であることからも通期増益幅がさらに上振れしてもおかしくない」とみる。

 実際、製造業を中心に円高への対応力は着実に改善している。アジアの販売好調やコスト抑制効果などで通期営業利益予想を引き上げたトヨタ自動車7203.Tは、期初に1ドル=90円、年間販売700万台でも利益が出る体質を目指す方針を示したが「損益分岐点が確実に下がり、1ドル=86円、販売台数750万台で5500億円の営業利益を出せるようになった」(伊地知隆彦専務)。ホンダ7267.Tも「去年の第3・四半期決算の会見では1ドル90円、四半期の四輪車販売が90万台で1000億円程度の利益を出せる体質ができたと語ったが、今は1ドル85円でも1000億円の利益を出せるようになった」(近藤広一副社長)という。

 円高の影響を受けやすい電機大手からも決算発表で強気発言が相次いだ。通期純利益予想を上方修正し、今期に20年ぶりの最高益更新も視野に入れる日立製作所6501.Tは「今回示した業績予想を最低限としてやっていきたい」(三好崇司副社長)とし、通期の着地でさらなる業績上積みの可能性を示唆した。三菱電機6503.Tは、主力のファクトリーオートメーション(FA)システム事業で、中国の工作機械関連や韓国と台湾の薄型パネル関連などアジア市場の需要拡大を取り込み、10─12月期営業利益が四半期として過去最高を記録したが、同社の吉松祐規常務執行役も「通期予想が上振れする可能性は極めて大きい」と含みを持たせた。

 バークレイズ・キャピタル証券の株式ストラテジスト、高橋文行氏は「資源価格の高騰、新興国のインフレ懸念と景気過熱感、円高継続など、企業業績の先行きに不透明感は残るが、足元の業績回復傾向は鮮明」とし、会社側予想がアナリスト予想に比べ慎重であるため「本決算に向け会社側による予想の上方修正も期待される」と指摘する。

 さらに「機械、輸送用機器、非鉄金属などのセクターでは利益率の改善が進んでいるほか、4─12月期売上高の(通期予想に対する)進捗(しんちょく)度合いが高く、来期の増収も見込まれる。11年度に向け持続的な業績回復期待が高まる」と来期についても前向き。株式市場では「コンセンサス予想が会社予想よりも高い銘柄は好業績期待銘柄として評価されやすいが、今期だけでなく来期の業績も良好との見方が広まればその銘柄は人気化しやすい」(大手証券)とみられている。

  <新興国の需要拡大や米景気回復が追い風>

 東証一部上場企業(除く金融)の4─12月期経常利益は前年同期比81.0%増となった。円高によるマイナスを新興国や米国向け事業の拡大で吸収した。特に電機機器は1251.1%増益となり、製造業全体の145.6%増益をけん引した。素材産業では繊維製品が426.6%増益、石油・石炭が303.3%増益と改善が著しく、鉄鋼各社も「新興国の需要増などによる鋼材出荷量の拡大と原料高を背景とする鋼材価格の改善などが寄与した」(JFEホールディングス5411.Tの石川良雄副社長)ことで、前年同期の赤字から黒字に転換した。加工産業では輸送用機器と機械がそれぞれ200%を超える増益となった。

 非製造業も総じて好調。資源高の恩恵を受けた商社が好決算となり卸売業は79.5%増益となったほか、海運や空運が黒字転換した。三菱商事8058.Tは原料炭など資源価格の上昇やアジアを中心とする海外の自動車関連事業が好調で4―12月期連結当期利益(米国会計基準)が93.8%増となり、鉄鉱石や原油の価格上昇で金属資源部門やエネルギー部門が大幅増益となった三井物産8031.Tも4─12月期連結当期利益が前年同期比約3倍に膨らんだ。

 ただ、1─3月期については「原料価格の上昇や円高など不透明材料が多い。中国の春節明けの動向などを見極めたい」(三井化学4183.Tの川上康夫経理部長)といった声や、昨年末以降の原材料価格の上昇や豪州の洪水による影響などで「1─3月期は10─12月期に比べ相当な減益になる」(新日本製鉄5401.Tの谷口進一副社長)と警戒感を示す声も少なくなかった。

(ロイターニュース:大林 優香、 編集:宮崎 亜巳)

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