[ニューヨーク 16日 ロイター] 16日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが下落した。イランの軍艦がエジプトのスエズ運河経由でシリアに向かう、とのニュースが伝わると、中東情勢が緊迫化するとの懸念が高まり原油価格が上昇、スイスフランなどの安全資産とされる通貨が買われた。
テクニカル要因や投資家のポジションもドルを圧迫し、ドルは特にユーロに対して軟調となった。
ドルが下落し原油が上昇すると、ユーロの売り持ちポジションを解消する動きが出た。ただ、最近の米経済指標が強い数字となっていることから、ドル安はさほど続かないとの見方がある。
ユーロ/ドルは0.5%高の1.3562ドル。
安全資産とされるスイスフランも上昇し、ドル/スイスフランは0.8%安の0.9597スイスフラン。イランのニュースが伝わると、スイスフランは一時ドルに対して1%近く上昇した。
スイスフランはユーロに対しても堅調となり、ユーロ/スイスフランは0.2%安の1.3016スイスフラン。
ドル/円は0.1%安の83.67円。
イスラエルのリーベルマン外相は16日、シリアに向かうイランの軍艦2隻が同日、スエズ運河を通過する予定であることを明らかにした。 同外相はこれはイランによる「挑発行為」であると非難した。
テンパス・コンサルティングの資本市場部門シニア・バイスプレジデント、グレッグ・サルバジオ氏は「イランのニュースで明らかに地政学リスクは高まっている」と指摘。そのうえで「イランのニュースで原油が上昇したことからドルが売られた。ただ、ユーロ/ドル相場の上げは短期的なものになるだろう。今朝発表された米経済指標は好ましい内容だった」と述べた。
イランのニュースが伝わると、北海ブレント先物は約2年半ぶり高値をつけた。
ドルはこのところ円に対して2週間近く上昇していたが、この日はほぼ変わらずとなった。朝方に発表された米インフレおよび住宅指標を受け、米国債利回りは上昇していたが、イランのニュースが伝わると利回りは低下した。これを受けドルは一時の上げを削った。
ドルは、この日公開された1月25─26日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録
には反応薄だった。
ポンド/ドルは0.2%安の1.6083ドル。英中銀がこの日発表したインフレ報告で成長見通しを引き下げたことを受け、利上げ観測が後退し、ポンドはインフレ報告発表前の1.6140ドル近辺から、1.5987ドルまで下げた。