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欧州ソブリンリスクを再び意識、前日の反動も小幅で様子見

 [東京 8日 ロイター] 欧州ソブリンリスクが再び意識されてきている。ギリシャの格付けが3段階引き下げられたことをきっかけに、ポルトガルなど一部欧州諸国の国債利回りが上昇。原油価格は上昇一服となっているが、リスク選好ムードは回復していない。

 3月8日、午前の東京市場では株反発となったが、値幅は小さく薄商いで様子見気分が強い。昨年9月、都内で撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 8日午前の東京市場では、株反発、債先反落となったが値幅は小さく薄商いで様子見気分が強い。ソブリン問題対応をめぐって今週のユーロ圏首脳会議への注目度が増している。

 <欧州ソブリン問題は債券支援との声>

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは7日、ギリシャの債務削減計画に対する懸念を理由に、同国の格付けを「B1」に3段階引き下げた。見通しは「ネガティブ」。ギリシャが2013年以降欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)からの融資に必要な条件を満たせずに債務再編に追い込まれるリスクがあるとしている。

 外為市場では欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測によるユーロ買いは根強く、ユーロ/ドルは一時1.40ドルを上回り、4カ月ぶりの高値を更新したが、ユーロ債券市場ではギリシャとポルトガルの国債利回りが上昇。ポルトガル国債利回りは9日の2年債入札を前に、ユーロ導入以来の最高水準をつけるなど動揺が広がっている。

 円債市場では強気な見方も増えてきている。午前の市場では利付30年国債の入札に絡んだ持ち高調整の売りが出たため、国債先物が前日終値を下回って推移する場面が多かったが、下値不安が広がるには至らず、先物限月の交代を控える中、新規取引は見送られがちだったという。

 新発債入札を不安視する声も少なく、JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは「中長期的には、新興国金融引き締めや欧州問題、中東情勢の悪化という3つの条件に加えて、ギリシャの格下げなどが欧州ソブリン問題を再び意識させそうだ。入札で押した場面では、ロングの姿勢は崩す必要はないだろう」と話している。

 一方、BNPパリバ証券の菊池匡博ストラテジストも「今後は前原外相辞任後の政局混乱、緊迫状態が続く中東情勢、アイルランド議会や欧州金融安定ファシリティー(EFSF)協議など欧州の財政金融不安が市場のテーマになりやすい。いずれも基本的には株価の上値を抑え、債券相場を支援する要因になるのではないか」と指摘していた。

 <ユーロ圏首脳会議でのソブリン問題対応に注目>

 ユーロへの強気が続く外為市場では「ギリシャの格下げはある程度予想されていたことに加え、欧州が何らかの救済策を出すだろうとの観測が根強く、大きな材料にはならなかった」(国内金融機関)という。

 欧州は3月24─25日の欧州連合(EU)首脳会議での取りまとめに向けてソブリン問題への対応を協議しており、今週末11日にはユーロ圏首脳会議、14、15日にはユーロ圏非公式財務相会合とEU財務相理事会が予定されている。欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)は7日、ギリシャとアイルランドの喫緊の問題は債務の持続性であるとして、支援融資の金利引き下げには正当性がある、との見解を示した。

 ただ、救済策がどの程度抜本的なものになるかは不透明で、一時しのぎの対策になるとの見方も多く、ギリシャに対する不安感が消えたわけではない。市場では「問題解決に向けた本格的な展望は開けず、ユーロは11月の直近高値(1.4283ドル)には届かない」(日興コーディアル証券、松本氏)との声も上がっていた。

 <株買い戻しも限定的>

 日経平均は小反発。原油価格の上昇が一服したことで短期筋の買い戻しが入ったが、様子見気分が強く前場の東証1部売買代金は約6200億円と薄商いだった。「中東情勢も不透明で、前日の大幅安の反動で買い戻しが入っているが限定的だ」(SMBCフレンド証券・シニアストラテジストの松野利彦氏)という。依然として中東情勢と原油価格の先行きが不透明なことから上値には慎重な動きとなっている。

 中東衛星テレビのアルジャジーラは、リビアの最高指導者カダフィ大佐が、自らが一定の保証付きで退陣するための全人民会議の開催を提案したが、反体制派はこの提案を拒否したと報じた。

 これに対し、市場では「カダフィ大佐が退陣の姿勢を示したことは一歩前進だが、市場では消化難だ。先物に買いが先行したものの、後が続かない。欧州勢の買いに対し、国内勢の決算対策売りが継続し上値を抑えている」(大手証券エクイティ部)との声が出ていた。

 一方で、焦点はリビアから11日のサウジのデモに移ってきたとの声も出ている。カダフィ大佐が退陣したとしても、その後すぐに安定的な原油供給ができる体制が確立するかどうか不透明なためで「市場にとっては、リビア減産を前提として増産余地のあるサウジの安定的な政治体制が続くかどうかがポイントになる。サウジのデモが体制を揺るがすまでに至らなければ、原油の供給懸念は一服する」(日興コーディアル証券国際市場分析部課長の松本圭史氏)という。

(ロイターニュース 金融マーケットチーム;編集 内田慎一)

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