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焦点:東日本大震災、海外は日本のさらなる債務増大を懸念

 [ニューヨーク 12日 ロイター] 11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の経済的影響について、海外では、日本経済は一時的に悪化するものの、その後の復興需要で持ち直すとみられている。

 3月12日、東北地方太平洋沖地震の経済的影響について、海外では日本の債務のさらなる増加につながると懸念されている。写真は国会議事堂。昨年撮影(2011年 ロイター)

 ただ、震災復興費用が、すでに懸念すべき高水準にある債務のさらなる増加につながると懸念されている。

 1995年1月の阪神・淡路大震災(阪神大震災)の時は、日本経済は2%のマイナス成長に陥ったが、その後回復した。東日本大震災による打撃が阪神大震災のそれを超えると予想する向きは現在のところ極めて少ない。ただ、懸念要因は、現在の日本経済が当時よりもはるかに弱いことだ。さらに先進国のなかで最も多い公的債務を抱えている。

 加えて、震災の規模とその被害状況が、特に12日から伝えられている東京電力9501.Tの福島の原子力発電所の状況により、到底把握できない状態だと指摘するエコノミストもいる。

 ハイ・フリクエンシー・エコノミクスのチーフ・エコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「冷戦後、先進国の人口密集地域での原発事故がもたらす経済的影響を考えさせられたことはない。考えたいとも思わない」と述べた。

 日本経済について、いまのところアナリストの間では、震災によって第1・四半期にプラス成長を回復しない可能性があるものの、今年中には回復するとの見方が大勢だ。

 <世界経済への影響は軽微か>

 世界経済への影響については、日本が成長のけん引役でないことから、中東・アフリカ情勢による原油価格急騰よりは他国に影響を及ぼすリスクは小さいとみられている。

 ピアーポント証券(米コネチカット州)のチーフエコノミスト、ステファン・スタンレー氏は「世界経済は大丈夫だろう」と述べた。

 米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のモハメド・エラリアン共同最高投資責任者(CIO)は、日本経済について「GDPはいったん落ち込むが、その後、復興需要で経済活動は活発化する」との見通しを示した。

 アナリストによると、阪神大震災の場合と同じパターンをたどれば、GDP伸び率は第2・四半期から3四半期間、年率プラス3%を上回る可能性があるという。

 東日本大震災で津波など甚大な被害を受けた宮城県などの東北の太平洋側には、自動車や半導体の生産拠点がある。

 震災は、日本経済が決して良好でない状況で起こった。10日に発表された2010年10─12月期実質国内総生産(GDP)2次速報値は、年率換算でマイナス1.3%と1次速報のマイナス1.1%から小幅に下方修正された。

 <債務負担さらに重く>

 震災の影響として最も懸念されるのは、すでに高水準にある債務のさらなる増加だ。

 キャピタル・エコノミクスはリサーチノートで「震災は、これ以上ないほど悪いタイミングで起こった」としたうえで「復興コストの大部分は、地方自治体、おそらく最終的には中央政府が負担することになる」と予想している。

 三菱UFJ証券インターナショナルのエコノミスト、ブレンダン・ブラウン氏によると、復興関連の債務コストで公的債務はGDP比2─10%増える可能性がある。

 5%以上増加した場合「日本政府が国債増発ではなく、外貨準備に手をつけ、米国債を売却するのではないか、という憶測が出てくる」という。

 ブラウン氏は、日本が債務再編に至ることは考えにくいが、投資家は、債務負担への対応策としてインフレ上昇と円安を想定するかもしれない、と指摘した。

 債務増加は、格付けのさらなる引き下げにつながり得る。スタンダード&プアーズ(S&P)は1月に格付けを引き下げた。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、経済・財政政策が債務の急激な増大を抑制できるほど十分強固でない可能性があるとの懸念の高まりを挙げ、格付け見通しを安定的からネガティブに変更している。

 <円は当面上昇へ>

 円JPY=は地震発生後、いったん対ドルで売られたものの、地震関連のレパトリエーション(資金の本国還流、レパトリ)が意識されて1ドル=81円台に上昇した。週明けから数日は、保険会社や企業などのレパトリの規模によるが、円高がさらに進む可能性がある。

 日銀は地震発生を受け、「金融市場の安定および資金決済の円滑を確保するため、流動性の供給を含め、万全を期していく方針」と表明した。一部メディアは、日銀が市場の安定確保と円滑な資金決済を狙い、週明け14日に数兆円(数百億ドル)規模の緊急オペ(公開市場操作)を実施する計画と伝えた。

 シティグループのアナリストはリポートで「外為市場は、金融、財政面での緊急対応から、相場の方向性の手掛かりを得ようとするだろう」との見方を示した。

 UBSマクロ・リサーチの為替戦略責任者マンスール・モヒ・ウディン氏は、日銀が円高抑制に向け市場介入する可能性があるとみている。

 同氏はリサーチノートで「ドル/円が80円を抜けることはないと予想している」としたうえで「財務省が昨年9月に続く為替介入を日銀に指示する」との見方を示した。

 (Walter Brandimarte記者;翻訳 武藤邦子;編集 加藤京子)

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