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原発事故への恐怖で東京株の投げ売り加速、需給バランス大きく崩れる

 [東京 15日 ロイター] 15日の東京株式市場は、福島第1原子力発電所で発生した重大事故への恐怖感から投げ売りが加速、日経平均は2010年9月8日以来、約半年ぶりに9000円台を割り込んだ。

 3月15日、東京株式市場は、福島第1原発で発生した事故への恐怖感から投げ売りが加速、日経平均は2010年9月8日以来、約半年ぶりに9000円台を割り込んだ。写真は東京証券取引所。2008年11月撮影(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 連日の大幅安で市場の需給バランスは大きく崩れた。生産工場の停止などで経済活動が縮小すれば国内経済への影響も懸念される状況になる。

 15日午前6時10分ごろ、東京電力9501.Tの福島第1原子力発電所2号機で爆発音があったというニュースは、株式市場を震撼させた。市場関係者は「寄り前から原発事故の話で持ち切りとなった。国内勢だけでなく、海外勢からも投げ売りが先行。大量の先物売りが裁定解消売りを誘発した。原発事故さえ落ち着けば反発も予想されるが、この状況では割安感があっても手が出ない」(大手証券)と話している。

 東京電力は15日朝、福島第1原子力発電所2号機の圧力抑制室付近で爆発音が発生し、同室内の圧力が低下したため、同室で何らかの異常が発生した可能性があると判断し、一部職員を退避させたと発表した。その後、時々刻々と状況が悪化するたびに先物、現物に売りが膨らんだという。「東京電力側の公表内容がはっきりせず、市場の不安心理を増大させている。政府の対応も後手に回っているため、先行きが読みづらい」(明和証券シニアマーケットアナリストの矢野正義氏)と市場関係者は憤る。

 菅直人首相が15日午前11時から記者会見し、原発から漏えいしている放射能濃度が高くなっており、今後、さらなる漏えいの可能性が高まっていることを明らかにすると、日経平均先物は下げ幅を拡大、大阪証券取引所は午前11時08分から11時40分まで2度にわたりサーキットブレーカーを発動した。 

 この日の株価急落は、原発事故による恐怖心理からパニック的な売りが膨らんだことが直接の要因だが、期末という特殊なタイムスケジュールの中で、連日の株価安が需給バランスを大きく崩し、下げ幅を増幅させたと考えられる。

 東海東京証券マーケットアナリストの鈴木誠一氏は「国内機関投資家はすでに期末の数字をある程度固めていたため、追加の益出しや処分売りを余儀なくされている。生損保は保険金支払いに備えた換金売りも出しているだろう」との見方を示している。

 一方、株価指数オプション市場では各行使価格でプットの建玉が多く、売り方のリスク量が極大化し、デルタヘッジの先物売りが急増した可能性がある。オプションの売りでは日経平均の動きが少なければ、時間経過のプレミアム分が利益になるが、大きな相場変動時に損失は無限大になる。このため、オプションの買い戻しでは間に合わず、先物売りでヘッジすることになる。直近の裁定買い残は2兆1700億円程度まで積み上がっていたことから、先物売りが裁定解消に伴う現物株のプログラム売りを引き起こしたとみられる。

 東日本大震災の影響や福島原発事故の先行きが不透明であり、株価の先行きについては予想困難との見方が増えている。「きょうの急落で東証1部のPBR(株価純資産倍率)は1倍を割り込んだが、通常の投資尺度では測定できない事態だ」(準大手証券トレーダー)との声が出ている。

 JPモルガン・アセット・マネジメントエコノミストの榊原可人氏は「生産工場の停止などで経済活動が縮小していることは確かであり、デフレ的な状況が進んでいると言えよう。一方、食料品や生産部品が乏しくなっており、供給不足から物価が押し上げられる局面に至ればスタグフレーション的な様相も出てくる可能性がある」と指摘。「政府の景気対策が適切に実施されれば、需給ギャップの修正による景気回復とデフレ傾向からの転換という面から株価にポジティブな状況が生まれるかもしれないが、いずれにしても原発事故などの展開次第であり、事態を見極める必要がある」と話している。

(ロイターニュース 河口浩一 編集:伊賀大記)

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