[東京 23日 ロイター] 枝野幸男官房長官は23日午後の会見で、放射性物質による被ばくに関する試算を行うSPEEDI(スピーディ)というシステムで計算した結果、福島第1原子力発電所の事故発生から毎日1日中屋外にいたと仮定した場合の甲状腺の被ばく線量が100ミリシーベルト以上となり得るケースが、同原発から30キロメートル圏外にもあることを明らかにした。
ただ現在のところ、直ちに避難や屋内退避が必要とは分析していないという。
枝野長官はこの被ばく線量は人体に影響が出る可能性があるとした。「今後の放射線量のモニタリングや制度の高いシュミレーションを行いながら、人体に影響が出る可能性のあるこの被ばく線量に達することのないよう、今後の対応をしっかり注視していきたい」とした。その上で「念のため、発電所の風下ではできるだけ窓を閉めて屋内にとどまることを勧める」と述べた。
東京都葛飾区の金町浄水場で、乳児の場合の基準値を超える1キログラム当たり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出したことについて、乳児の基準値自体はたまたま数回、こうした数値の水道水を摂取しても健康に被害はないとしながらも、「残念ながらしばらくこうした状況が続くと想定している」とした。対応策については、現在協議中だとした。
東京電力福島第1原発の状況については、各原子炉設備や使用済核燃料プールを冷却し続けて事態の安定を図ることと、放射性物質の漏れを抑えることが必要だとの考えを示した。ただこれらがいつごろどうなっていくのか、予断を持って言える状況ではないとした。
(ロイターニュース 中川泉;編集 石田仁志)