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東電の供給危機は長期化の可能性、需要抑制策が当分は頼り

 浜田 健太郎

 3月23日、東日本大震災で発電所が被害を受けた東京電力の供給危機は長期化する公算。写真はネオンサインが消えた東京・秋葉原。18日撮影(2011年 ロイター/Toru Hanai)

 [東京 23日 ロイター] 東日本大震災で発電所が被害を受けた東京電力9501.Tの供給危機が長期化する公算だ。夏場と冬場の需要に対応できる供給力の確保にめどが立っておらず、計画停電など需要抑制策以外に有効な手段が見当たらない。エネルギー問題の専門家からは、電力復興に向けた政策と海外からの資金導入が必要との指摘が聞かれる。

  <大口対象に追加節電策を検討>

 東電の藤本孝副社長は22日の記者会見で、今年夏の需給見通しについて、「需給ギャップが1000万キロワット程度発生するのでは」と述べた。需要がピークを迎える夏の供給力として5000万キロワット以上の確保を目指すが、最大電力は気温が平年並の場合で5800万キロワット、猛暑の場合は6200万キロワット超と想定されるため、1000万キロワット規模の供給不足が生じる見通しだ。

 今月14日に始めた計画停電は、需要が落ちるゴールデンウィーク明けにはいったん収束する見込みだが、藤本副社長は「(夏の計画停電は)避けられない思う。計画停電以外にも大きな枠組みの中で節電して頂くこともあるかもしれない」と述べ、工場など大口ユーザーを対象に一段の需要抑制に踏み込む可能性を示唆した。具体的には、大口ユーザー向けに使用可能な電気の量を落とす契約アンペアの削減が有力とみられる。

 また、同副社長は、「冬も(需要が)5000万キロワットくらいになるので、(需給)バランスの見通しは立てられない」と述べた上で、来年夏の供給力についても、「100万─200万キロワットの発電所を1年で作ることはできない。今年と来年夏で大幅に(供給力が)変更になるのは難しいだろう」と話し、危機が長期化する可能性に言及した。

  <不評の計画停電も代替策見当たらず>

 計画停電は経済界から不評だ。経済同友会は、今月15日、「国民生活や経済活動に大きな影響を及ぼしかねない計画停電に代え、電気使用の総量規制をもって対応すること」を提言した。数時間の停電よりも、契約電力量の一定の減量などの総量規制のほうが効果的という理由を挙げている。

 しかし、東電や経済産業省は、計画停電をやめて、工場など大口需要家を対象とした総量規制だけだと現在の需給逼迫には対応できないと考えている。ある経産省関係者は「経済界は電力会社の都合で停電日時が決められるのは困ると考えているが、計画停電は家庭を強制的に停電させる仕組みだ。計画停電を止めて大口向けの総量規制だけで対応すると、相対的に大口ユーザーに節電を求める割合は深くなる」と指摘し、計画停電以外に有効な方法は見当たらないとの見方を示す。

  <震災で供給力27%が脱落>

 東日本大震災に伴い、東電の福島第1原発(出力469万キロワット)では建屋が損壊したり原子炉に海水が注入されるなどで、1―4号機の再稼働は困難との見方が広がっている。枝野幸男官房長官は20日の会見で、「客観的状況で、福島第1原発が再び稼働できるような状況であるかないかは、ある意味はっきりしている」と述べ、廃炉の可能性に言及した。第1原発に加え、福島第2原発(440万キロワット)と、太平洋沿岸を中心に火力発電所の計850万キロワットが震災により停止。東電の6448万キロワットの自社発電能力(2010年3月末)のうち約27%が地震の影響を受け、供給力として計算できない状況に陥った。

 火力発電所の今後の見通しは、定期検査から再開する230万キロワットと、地震で止まった設備の復旧で170万キロワットの計400万キロワット分が3月末までに戦列復帰する。これに加え、他社と共同保有する発電設備や独立発電事業者からの供給、企業が保有する自家発電設備からの電気の調達など東電は可能な手段を尽くす構えだが、それでも夏の最大電力には届かない。

 原子力では、新潟県中越沖地震(2007年7月)からの復旧工事を進めてきた柏崎刈羽原発は、現在は1、5、6、7の各号機が運転中で、2、3、4号機(合計出力330万キロワット)は再稼働を目指し準備を進めてきた。ただ、同2―4号機が現在の電力危機に対応できるかどうかについて東電は、「当社から(再稼働の)スケジュール感を言うことはできない」(藤本副社長)としており、見通しは不透明だ。

  <海外から投資導入が必要>

 日本の電力供給は、静岡県などを境に周波数が東日本で50ヘルツ、西日本で60ヘルツとなっており、西側の中部電力9502.Tなどから東電に電力を融通する場合、周波数変換所を経由する送電容量は100万キロワットが限度。今回は、東電と東北電力9506.Tがともに大きく被災したため、危機に直面した場合の東西地域間の協力が極めて小さな規模に限られるという、日本の電力供給における構造的な弱さが露呈した。

 損害を受けた火力発電所の修復や、仮に福島第1原発が廃炉になった場合の費用など、東電が今回の震災で受けた損害がどれれだけの金額に上るかは不明だが、現在の電力危機を乗り越えるたためには、発電所の新設など巨額の資金が必要になる可能性が高い。

 日本エネルギー経済研究所の小笠原潤一研究員は、ロイターに対し今回の電力危機について、「緊急事態であり、特別措置法などを含めてどのように電源を手当するのかを優先課題として、その資金をどのように確保するのかを落ち着いた段階で議論することになると思う」と述べた。同氏は復興に向けて海外からの資金導入が必要だと指摘している。

(ロイター日本語ニュース; 編集 宮崎亜巳)

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