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プルトニウム検出で市場心理冷え込む、海外勢の日本株買いも手控え

 [東京 29日 ロイター] 福島第1原子力発電所の敷地内からプルトニウムが検出されたことで市場心理が再び冷え込んできた。放射性物質拡散への不安に加え復旧作業がさらに遅れる可能性があると懸念されている。

 3月29日、福島第1原子力発電所の敷地内からプルトニウムが検出されたことで市場心理が再び冷え込んできた。写真は昨年6月、都内の株価ボード(2011年 ロイター/Issei Kato)

 政府内で一時国有化の案が浮上していると一部で報道された東京電力9501.Tはストップ安売り気配。海外勢の日本株買いが手控えられる一方、円債先物はしっかり。期末接近で積極的な売買は控えられているが、リスク回避姿勢が強まっている。

  <海外勢の日本株買いにブレーキ>

 規模を縮小させながらも継続していた海外勢の日本株買いにブレーキがかかった。市場筋によると、寄り付き前の外資系証券9社経由の注文状況は130万株の買い越し(10営業日連続の買い越し)になったが、金額ベースでみれば約30億円の売り越しに転じた。バスケット売り注文も主力株などに合計約250億円出たと観測されている。

 「海外勢に嫌気されたのはプルトニウム検出。売り込む感じではないが、買い手が乏しくじりじりと値を下げている」(大手証券トレーダー)という。東京電力は28日、福島第1原発の敷地内の土壌からプルトニウムを検出したと発表した。東電によると、その濃度は通常の環境で見られる水準と同程度であり、人体に影響はないとされるが、毒性の強いプルトニウム検出に不安が高まっている。

 東電株はストップ安売り気配。一時国有化して再建する案が政府内に浮上していると一部で報道されたことで、上場廃止となり株主責任を問われる可能性があると嫌気されている。枝野幸男官房長官は29日午前の記者会見で、現時点で政府として検討を行っている事実はないと語ったが、原発事故の補償が巨額にのぼり東電の経営を圧迫する可能性があるとの不安を払しょくするには至らなかった。

 関電工1942.TやKDDI9433.Tなど東電の出資比率が高い銘柄も売却懸念から軒並み軟調。前場の日経平均は配当権利落ち分(83─87円程度)を考慮しても続落となった。みずほ証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏は「現時点の株価の水準は15日の急落後に買ってきたとみられる海外勢の買いコストを上回っており、ここから買い増すには原発問題の収束などが必要」と述べている。 

 日本株に対する不安感が強まるなかで「日本株売り・韓国株買いの動きも出ている」(外資系証券トレーダー)という。韓国総合株価指数(KOSPI)は前日までの9営業日で6.8%上昇。計画停電やサプライチェーンの分断で日本の自動車やハイテクの生産が滞る半面、競合製品を作る韓国企業が注目されている。

  <円債市場では期末接近で投資家の動きも鈍る> 

 リスク回避志向が強まり29日午前の円債市場は反発。朝方は前日終値を小幅に下回る場面もあったが、国債先物に思惑的な買いが入り、一時、心理的節目の140円に迫った。

 ただ期末が迫るなかで投資家の動きも鈍っている。震災復興費用をめぐる不透明感もあり、参加者からは「トレーディング目的の売買が難しい」(外資系投信)との声も出ている。

 市場では「大手銀行などの投資家が、期初にどういった投資行動に出るかが今後の焦点」(ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジスト)と指摘されている。「足もとの水準なら債券で益出しが出来るが、株価が下落するなかで、それに対してどう対処するのか、一方で景気にネガティブな見方が債券残高を維持させるのかが注目される」(山下氏)という。

 外為市場でドル/円も小動き。日米の金利差が拡大している割にドル/円は上値が重く、仲値にかけて期末のドル売りが出ると81円半ばまで小緩んだ。

 25日にプロッサー・フィラデルフィア地区連銀総裁がインフレを警戒する発言をしたことが米金利を押し上げ、ドルの支援材料になっており「1ドル90円ぐらいになってもおかしくない(日米の)金利差」(みずほコーポレート銀行マーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏)とされるが、依然としてドル/円は上値が重い。

 日本の輸出企業が震災による生産遅延で「為替ヘッジを抑制しており、慌てて売ってこない」(大手銀行)ため、実需のドル売りが重しになっているわけではないという。ドル/円の買い持ちが「相当たまっている」(国内金融機関)ことが影響しているとみられている。

 一方で「円キャリーが起きないとなかなか円安にならない。国内勢の対外証券投資が必要だが、日本人がリスクを取りやすい環境ではない」(唐鎌氏)との指摘もあった。

 (ロイターニュース 伊賀大記;編集 内田慎一)

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