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市場の配当落ち分埋める強さに違和感、公的資金流入との観測も

 [東京 29日 ロイター] 3月期末の権利落ち日となった29日の東京株式市場は、市場関係者の多くが違和感を感じる強さをみせた。

 3月29日、3月期末の権利落ち日となった東京株式市場は、市場関係者の多くが違和感を感じる強さをみせた。写真は東京証券取引所。2009年3月撮影(2011年 ロイター/Issei Kato)

 米株安や福島原発事故に対する懸念の強まりで軟調な展開が予想されていたが、後場以降切り返し終値は実質プラス圏に浮上。想定以上に強い値動きに市場では公的資金が流入したのではないかとの観測も浮上している。だが好材料が出たわけではなく、日本株を押し上げてきた外国人投資家の買いも変化の兆しをみせている。原発事故が早期収束しななければ本格的に上昇するのは難しいとの見方は多い。

 市場推計によれば日経平均の配当権利落ち分は83─87円程度。前場には前日の米株安に加え、福島原発の敷地内の土壌でプルトニウムが検出されるなど原発事故に対する懸念の強まりから、日経平均は一時161円安と配当落ち分を考慮しても軟調な展開となった。

 ただ、後場に入ると相場は一変。午後1時前から日経平均先物に200─500枚の断続的な大口買いが入り、裁定買いによって現物株も押し上げられた。日経平均は終値で19円安と配当落ち分を考慮しても実質プラス圏で引けた。

 特段買い材料が観測されないなかでの上昇に、市場では「短期筋が先物で買い戻した」(外資系証券トレーダー)との観測も流れたが、大引け後に明らかになった先物の手口には、CTA(商品投資顧問業者)などがよく使うとされる欧州系証券の名前は買い越し上位に見当たらなかった。

 日経平均先物の買い越しトップは野村証券(1515枚の買い越し)、TOPIX先物の買い越しトップは三菱UFJ証券(2044枚の買い越し、売り枚数見えず)とともに国内の大手証券だった。

 岡三証券・日本株情報グループ長の石黒英之氏は公的資金流入の可能性を指摘する。「通常、公的資金は国内大手の証券会社を通じて株式市場に流入する可能性が高い。東京電力9501.Tが連続ストップ安となり、東電株を保有する国内機関投資家の損失拡大が懸念されるなか、日経平均9500円をめどに支えに走ることは十分にあり得る」(石黒氏)という。事実、日銀は29日、一日あたり過去最高額となる192億円の資産買入等基金による指数連動型上場投資信託受益権(ETF)を実施した。 

 ただ、日本株がこのまま上昇基調に転じるかには懐疑的な見方が多い。「電源の回復など一時は明るい兆しが見えた福島第1原発の状況は再び悪化に向かっている。放射能汚染被害が広がる懸念をみせており、9500円を超えて買い上がる投資家は乏しい」(みずほ証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏)という。

 3月第3週は過去2番目の買い越し額を記録した外国人投資家もその姿勢に変化がみえてきた。市場筋によると震災後、外国人投資家からのバスケット買いが連日観測されていたが、この日は一転合計250億円のバスケット売りが観測された。また、寄り付き前の外資系証券9社経由の注文状況は130万株の買い越し観測だったが「9社中6社は売り越し」(市場筋)といい、金額ベースでは差し引き30億円の売り越しとなっている。

 前出の外資系証券トレーダーは「割安感から買いを入れていた海外勢は徐々に冷静になっており、原発問題の行方や復興需要の大きさなどを見極める状態になっている」と指摘している。 

(ロイターニュース 杉山容俊 編集:伊賀大記)

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