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震災で半導体の部材調達が危機、ウエハー工場など停止続く

 [東京 11日 ロイター] 発生から1カ月を迎えた東日本大震災の影響で、半導体生産に必要な部材の調達が危機に直面している。原材料シリコンウエハーと、製造工程に欠かせない洗浄液の主要な各生産拠点での操業停止がいまも続き、復旧の目処が立っていないためだ。

 半導体各社は在庫を活用して生産を続けているが、このまま生産停止が続いた場合、5月頃から影響が本格化するとの見方もある。

 <操業停止続くウエハー3工場>

 シリコンウエハーの国内生産拠点では、信越化学工業4063.Tの子会社、信越半導体の白河工場(福島県西郷村)、SUMCO3436.Tの米沢事業所(山形県米沢市)、米MEMCWFR.Nの宇都宮工場(宇都宮市)の計3カ所が震災以来、操業停止したまま。11日時点でも、信越化学は「近いうちに一部でも再稼働させたいが、本格稼働の時期は未定」としており、SUMCO、MEMCともに再開時期の目処は立っていないとしている。

 信越化学は、三益半導体工業8155.Tや長野電子工業(長野県千曲市)などグループの他工場で代替生産を進めているほか、SUMCOでも伊万里工場(佐賀県伊万里市)の未稼働設備の活用などを検討しているという。ただ、停止した3工場は、半導体の先端工場で用いられる直径300ミリのウエハーの世界生産量の3割(業界推計)を占めており、国内半導体メーカーにとっては3割という世界シェア以上に重要な調達先だ。

 半導体などハイテク分野の調査会社アイサプライ・ジャパンの南川明・副社長は、白河工場などの操業停止が国内の半導体メーカー与える影響について、「4月いっぱいは在庫のウエハーで何となる状況だが、5月から問題になりそうだ」と指摘する。あるウエハーメーカー関係者は「今まで取引のなかった半導体メーカーから1枚でも出してくれないかという要請が来ている」と話す。

 <洗浄液の最大工場も目処立たず>

 もうひとつ懸念されているのが、半導体の製造工程で必要な洗浄液の供給だ。原料の過酸化水素を生産する三菱ガス化学4182.Tの鹿島工場(茨城県神栖市)も震災以来、操業を停止している。同社の過酸化水素の世界シェアは6割に上り、三重県四日市市、米国、台湾、シンガポール、韓国でも生産しているが鹿島工場は最大拠点。同社は鹿島工場について、「プラントに大きな被害はなかったが、鹿島コンビナートの事情で十分な電気、蒸気、原料(水素)が来ていない」(広報IR部)ため工場を動かせない状況だという。

 現在は鹿島工場などの在庫を使いながら、半導体用の高純度過酸化水素の供給を続けているが、三菱ガス化学では、「在庫は4月のどこかで足りなくなる可能性もあり、海外品の輸入などで何とか間に合わせようと考えている」(同)と説明する。

 <長期化すれば顧客流出も>

 こうした状況に対し主要な半導体メーカーは、「あらゆる手段を尽くして物品確保に努めており、生産影響の最小化に全力を挙げている」(東芝6502.T)、「シリコンウエハーは在庫があるので当面は生産に支障はないが、当面の時期は伝えられない。部材メーカーにどういう支援が出来るかは検討している」(ルネサスエレクトロニクス6723.T)などと説明するが、事態打開への有効な方策は見いだせていない様子だ。

 エルピーダメモリ6665.Tは、3月28日、ウエハーなど必要資材について「7月末までDRAM製品の供給に問題がないと確認した」と発表したが、半導体は1―2カ月の製造期間があるので、7月末までの出荷分とすれば5月中に仕掛ける量を確保しただけともいえる。エルピーダは「取引先と代替案を含めて諸策の検討を進めており、大きな支障は発生しないと考える」としているが、対策の具体的な中身についての踏み込んだ説明はない。

 原材料の調達難が続き、納入先に必要な数量を供給できないことが長期化した場合は、海外の半導体メーカーに顧客を奪われる可能性も否定できない。アイサプライの南川氏はこの点について、「現実に起こりつつある。マイコン、メモリーともにそうだ。自動車メーカーの場合、(半導体の)調達先を代えにくい面はあるが緊急事態であり、いきなりではないにしても、(代替の)検討を始めている」と話した。

 (ロイターニュース、浜田健太郎)

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