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2011年世界成長予想据え置き、新興国のインフレが脅威=IMF

 [ワシントン 11日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は11日、最新の世界経済見通し(WEO)を公表し、2011年の世界経済の成長率予想を4.4%に、2012年は4.5%にそれぞれ据え置いた。新興国で発生しているインフレ加速や原油価格高騰が世界経済の新たな脅威となっていると指摘したが、景気回復を阻害するほどではない、との認識を示した。

 4月11日、IMFは、最新の世界経済見通しを公表し、2011年の世界経済の成長率予想を4.4%に据え置いた。写真は上海の夜景。昨年12月撮影(2011年 ロイター/Aly Song)

 IMFは近年、先進国の金融危機やリセッション(景気後退)に伴う潜在的リスクを注視する姿勢を示していたが、今回の報告書では、世界経済に対する脅威が、先進国から新興国をめぐる懸念へとシフトしたことを鮮明にした。

 報告書は「新興国の多くや一部の途上国が直面している課題は、現在のブーム的な状況が今後数年で景気過熱に発展することを確実に防ぐことだ」として、新興国における資産バブルのリスクについて警告した。また途上国では、燃料・食料価格上昇に伴う賃上げ圧力により、インフレ圧力は今後も高まる公算が大きい、としている。

 IMFのチーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は記者団に対し「現時点で大きな下方リスクはない」との見方を示したが、依然としてぜい弱な欧州の金融セクターおよび、高水準にある米国の公的債務を注視すべき懸念事項として挙げた。

 一方、商品(コモディティ)価格については「予想以上に上昇しているが、現時点で価格上昇が景気回復の腰を折るとは見込んでいない」とした。

 報告書はさらに、資金流入の抑制に苦慮する新興国がインフレリスクに直面しているとの認識を示した。ブランシャール氏は「状況が出来過ぎともいえるような地点に近づいているとわれわれは新興国に対し警告している」と指摘した。

 <先進国のリスクは後退>

 IMFは、東日本大震災やそれに伴う東京電力9501.T福島第1原子力発電所事故による長期的な影響は大きくないとの見方を示し、2011年の日本の経済成長率予想については1.4%と、1月時点の1.6%から小幅な下方修正にとどめた。

 先進国全体については、緩やかなペースの回復が継続しており、「二番底」リスクは後退したと指摘。ただ、失業は依然として高水準にあり、米国をはじめ、財政赤字削減に向けた十分な取り組みが行われていない、と指摘した。

 またブランシャール氏は、米国が財布のひもを締めれば、他の国々が米国に代わり、世界の需要をけん引する必要がある、と主張した。

 <回復の勢いは加速>

 IMFは引き続き、中国がけん引役となって新興国の高成長が続くとの見方を示し、2011年の中国の成長率は 9.6%、インドについては8.2%との見通しを示した。

 対照的に、米国については、米経済の2011年の成長率予想を1月時点の3%から2.8%に下方修正した。12年については2.7%から2.9%に引き上げた。また財政赤字削減計画の後退に対する懸念を示す一方、米政府に対し社会保障制度や税制の改革に取り組むよう促した。

 欧州に関しては、ギリシャやアイルランド、ポルトガルなどユーロ圏周辺国の債務危機にもかかわらず、回復は勢いを増しているとの見方を示し、2011年のユーロ圏成長率見通しを1月時点の1.5%から1.6%に引き上げた。12年見通しも1.7%から1.8%に引き上げた。その上で「欧州経済の成長は、引き続き緩やかで、まだら模様」とした。

 またIMFは金融政策について、先進国は、賃金圧力およびインフレ期待が抑制され、信用が低迷している限りは、回復後押しに向け、緩和的な金融政策を維持する必要があると指摘。半面、新興国については、先進国の利上げを待ち、追加の引き締め策を先送りすることは間違いだ、とした。

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