[ベルリン/ブリュッセル/トリノ(イタリア) 13日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)当局者は13日、追加利上げの用意があることを相次いで示唆した。
ECBは先週の理事会で25ベーシスポイント(bp)の利上げを決定。トリシェ総裁は会見で、一連の利上げの始まりと決まったわけではないと発言したが、市場では今後も利上げが続くとの見方が広がっている。
ECB理事会メンバーのクーン・ベルギー中銀総裁は、経済誌「トレンズ」(電子版)に掲載されたインタビューで、ECBが前週実施した利上げについて、単発の決定ととらえるべきではないと主張。
ECBは金利決定について前もってコメントはしないとし、「今後数カ月の動向を踏まえ、一歩一歩検討していく」と発言。 その上で、今回の利上げが「完全に孤立した決定」でないことは明らかだと語った。
クーン総裁は「インフレと政策金利のギャップが拡大すれば問題になる」とし、「1%の政策金利は明らかに緩すぎる状態になっていた。われわれは金利を正常な水準にしたい」と語った。
ECB理事会メンバーのドラーギ・イタリア中銀総裁もこの日、ECBのリファイナンス金利は前週の利上げ後も「非常に緩和的」との認識を示し、ECBは「例外的に拡張的な」金融スタンスを解除する手段を検討していると述べた。
総裁はトリノで行われた講演で、現在、財政政策と金融政策の両面から行われた非標準的経済支援措置を世界的に解除していく必要性があると指摘。
「金融危機後のユーロ圏の金融政策を特徴づける、例外的に拡張的なスタンスを解除する時期と手段を、われわれは検討している」と語った。
ロイターが先週のECB総裁会見後にエコノミストを対象に実施した調査によると、62人中30人が、ECBは7月に主要政策金利のリファイナンス金利をさらに25bp引き上げ1.50%とすると予想していた。
RBSのエコノミスト、シルビオ・ペルッゾ氏は、一連の発言を受けて、6月に利上げが実施される可能性が高まったと指摘。
「7月ではなく6月の利上げが最も望ましいシナリオだという当社の見解を裏付けるものだ」と述べた。
この日は、ECB理事会メンバーのメルシュ・ルクセンブルク中銀総裁も、金利が低過ぎれば市場にゆがみをもたらし、きわめてネガティブな影響を及ぼす可能性があることをECBは明確に示したと発言。
物価上昇圧力の高まりが二次的影響につながる恐れがあることがECBの懸念事項と指摘した。
ベルギー中銀のクーン総裁も「インフレ期待が高まりが実際の物価上昇につながることを踏まえると、手遅れになるまで待つことはできない」との認識を示した。