[シアトル 19日 ロイター] 東日本大震災と津波によるサプライチェーンの混乱で、オートバイから携帯電話まであらゆる製品の世界市場で必要な部品の入手がより困難になっており、企業決算への影響が懸念されている。
オートバイメーカーの米ハーレー・ダビッドソンHOG.Nは19日、ラジオ部品の確保が困難なため、2011年の出荷見通しレンジの下限を引き下げた。
また、携帯電話メーカーのソニー・エリクソン6758.TERICb.STは、ディスプレーやバッテリー、その他の部品の入手が困難なことが影響し、第1・四半期の業績が市場予想を下回った。
人気製品の部品の多くを日本から調達している米アップルAAPL.Oも20日に発表する決算で、利益率がどのように圧迫されているかが明らかになる可能性がある。
またトヨタ自動車7203.Tは、北米工場での減産を拡大する方針を示し、部品供給の混乱が夏まで続いた場合、11年の米販売目標の下方修正を迫られる可能性があることを認めている。
アルパイン・ミューチュアル・ファンズの株式アナリスト、ブライアン・キーン氏は「電子機器は非常に多くの分野に使われており、影響は広範囲に及ぶ可能性がある。誰もがある程度の影響を受けるだろう」と指摘した。
日本は、世界の半導体の5分の1を供給している。半導体は日常的な製品から工業部品まであらゆる製品に使用されている。不透明なのは、こうした供給障害がどの程度続くのかだ。
今週発表された米企業決算では、自動車から半導体まで幅広いセクターの国際企業が問題に直面していることが浮き彫りになった。
ハーレー・ダビッドソンは、日本の状況を注視していると表明する一方、サプライチェーンの障害は「わずかな程度」にとどまるとの見通しを示した。ただ、出荷ガイダンスの下限を引き下げたことから、同社株は19日の米株市場で5%超急落した。
ソニー・エリクソンのバート・ノルドベリ最高経営責任者(CEO)は、第1・四半期について、日本絡みの混乱により「厳しい四半期」となったと指摘した。
また、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nのダン・アカーソン最高経営責任者(CEO)は、原油高に加え、日本に関連した供給問題が、同社株を押し下げている可能性があるとの見方を示した。
日本の東芝6502.Tも震災に絡んで業績見通しを修正した。
ただ、米半導体大手インテルINTC.Oのステーシー・スミス最高財務責任者(CFO)は19日夜、大震災によって日本からの電子部品の出荷や安定供給に支障が出ているものの、インテルの生産には影響していないと強調した。
アルパインのキーン氏は、高水準を維持している在庫が問題を若干緩和する可能性があるものの、こうした問題は第2、第3・四半期まで及ぶ可能性があると指摘した。