[東京 28日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスのソブリン・リスク・グループ・シニア・ヴァイスプレジデント、トーマス・バーン氏は28日付で日本国債に関する見解を明らかにし、日本への懸念は長期債務と債務返済の道筋だと指摘した。
その上で、日本の金融は震災による大きな影響を受けていないため、政府債務の拡大があったとしても政府は極めて低いコストで資金調達が可能との見方を示した。
バーン氏は、地震による生産能力の低下やサプライチェーンの中断はマクロ経済に一時的な影響を与えるが、来年、再来年には震災前の経済成長に戻るとの見通しを明らかにしたが、より根本的な問題は、長期の経済成長による税収増でも政府予算の赤字を埋めきれない点で、政府が6月にも取りまとめる税と社会保障の一体改革を通じて効果的でタイムリーな税制・経済改革を実行できるかに注目しているという。
また、政府は現在極めて低いコストで資金を調達しているが、市場が政府財政の健全性に対する信認を失い、日本国債にリスクプレミアムを要求するようになれば、いずれかの時点で転換点が訪れる懸念に言及。日本の各政党が危機を契機として、長期の財政課題に取り組む姿勢を強めない限り、今回の地震はこの転換点の到来をわずかに早めた可能性があると指摘した。
(ロイターニュース 星 裕康)