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IMF内の権力構造変化、トップ職独占の欧州の地位脅かす可能性

 [ワシントン 16日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)内の新興国へのパワーシフトでストロスカーン専務理事の後任選びが熾烈化する様相を示しており、長らくトップの職を維持してきた欧州の地位が脅かされる可能性がでてきた。

 5月16日、IMF内の新興国へのパワーシフトでストロスカーン専務理事の後任選びが熾烈化する様相を呈し、トップの職を維持してきた欧州の地位が脅かされる可能性が浮上。写真は同専務理事の逮捕を報じる新聞。パリで撮影(2011年 ロイター/Charles Platiau)

 性的暴行容疑による突然のストロスカーン専務理事の逮捕により、IMFトップのポストをめぐる思惑は一気に噴き出した。後任選びは任期終了の2012年から前倒しされることになる。

 2007年のストロスカーン専務理事就任以来、IMF内部では中国が第3位の投票権を獲得したり、インドやロシア、ブラジルなどの発言力が高まるなど大きな変化があった。

 IMF理事会の関係者は匿名でロイターに対し、ストロスカーン専務理事の今後について迅速な対応を求める声が一部の国からあがっていることを明らかにした。ただ、拙速な判断に警戒感を示す声もあるという。 

 元IMF高官で現在はブルッキングス研究所に籍を置くEswar Prasad氏は「今回の件がどのような展開となっても、ストロスカーン専務理事が実質的なIMFトップでいることは非常に難しい」と指摘した。

 ドイツのメルケル首相は16日、まだ後任の専務理事を話し合う時期ではないとしながら「欧州が候補を出す理由がある」と発言。アイルランド、ギリシャ、ポルトガルの債務危機を背景としてあげた。ストロスカーン専務理事は債務危機に対する欧州連合(EU)とIMFによる救済策に深くかかわってきた。

 また、新興国市場の発言権を強めたIMFの投票権の構造改革も功績とされている。

 これまで新興国市場は候補者選びで十分な結束がみられなかったが、今回は違うとの声があがっている。IHSグローバル・インサイトのアナリスト、マーガレット・アン・オーギル氏は「中国が振興国の候補者擁立に動く可能性がある。中国は過去数年、投票権拡大と引き換えにIMFにかなりの貢献をしてきた」と指摘した。

 <2つのポストが空席に>

 IMFは15日、リプスキー筆頭副専務理事を当面の専務理事代行とすることを決定。日本や米国、カナダはいずれも同氏への信頼を示しているが、欧州のIMF高官は同氏が米国人であることから欧州の債務危機にストロスカーン専務理事ほどの影響力を及ぼすことはできないとみている。

 ただリプスキー氏は先週、8月の任期満了で退任することを発表しており、IMFにはトップ選びを急ぐ圧力が増すことは避けられない。

 欧州ではフランスのラガルド経済・財政・産業相が最有力候補とみられているが、今回のストロスカーン専務理事の逮捕により長年IMFトップの職を占めてきたフランス人が就任するのは難しくなる可能性がある。

 ワシントンではトルコの元財務相で現在ブルッキングス研究所で経済計画を担うケマル・デルビシュ氏の名が浮上している。欧州大陸で規模の大きな新興国であるトルコの存在は、後任選びのプロセスから締め出されるのではとの新興国の懸念を和らげる効果も期待できる。

 他に候補と考えられるのはカルステンス・メキシコ中銀総裁、インドのシン首相の経済顧問のモンテク・シン・アルワリア氏など。

 エジプトは過去2回現在パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の共同最高経営責任者であるモハメド・エルエリアン氏を、ロシアは元チェコ中銀総裁のJosef Tosovsky氏を擁立したことがある。

 (Lesley Wroughton記者;翻訳 中田千代子 ;編集 佐々木美和)

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