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内閣不信任決議案を否決:識者はこうみる

 [東京 2日 ロイター] 自民・公明・たちあがれ日本の野党3党が提出した内閣不信任決議案は2日午後に開かれた衆院本会議で、反対多数で否決された。投票総数は445票で、反対293票、賛成152票だった。

 6月2日、自民・公明・たちあがれ日本の野党3党が提出した内閣不信任決議案は衆院本会議で、反対多数で否決された。写真は反対票を投じる菅首相(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 市場関係者のコメントは以下の通り。

●混乱に伴う財政拡張の思惑棚上げ

<BNPパリバ証券東京支店 投資調査本部長 島本幸治氏>

 2日の東京債券市場は大きく買われた。前日の海外市場で米10年債利回りが節目の3%を割り込む一方、日米とも株価が下落したため。コンセンサスではないが、さらなる政治的混乱の可能性が低下し、「当面とはいえ菅政権であれば、(自民党が主張する総事業規模30兆円の第二次補正予算の早期成立に伴う)ばらまき財政が遠退く」との思惑も、一部参加者の脳裏にあったのではないか。

 今後は高値警戒感が広がりそう。野党の懐柔策として今国会を延長し追加の補正予算が編成される公算が大きい。その場合は、もともと9月以降とみられた国債増発の時期が、前倒しされるだろう。増発対象は超長期セクターが優先されるが、大型補正予算となれば10年物も対象になり得る。夏以降は、景気の持ち直しとあわせて国債需給緩和に対する警戒感が、相場の上値を抑えかねない。

●ドル主導の相場へ回帰

 <クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斉藤裕司氏>

 内閣不信任案の否決が決まった。ただ、菅首相が原発事故の収束に一定のメドがついた時点で退陣するとの意向を示した時点で鳩山氏を取り込んでおり、否決は予想されていた。すでに円は売りにくいというムードになっている。

 このあと、海外勢がもう一段円買いに動く可能性はあるが、不信任案をめぐる円売り材料がなくなったことから、為替市場は再びドルが主導する相場に戻ることになるだろう。

●変化起きず株市場は好感できない

 <インベストラスト 代表取締役 福永 博之氏>

 小沢一郎氏が棄権したこともあり、民主党の分裂は回避される見通しとなった。不安定さは残るものの政権体制は維持される見通しだ。

 だが、株式市場としては好感されない可能性が大きい。ねじれ国会のなかで民主党の政策に対し自民党と公明党が反対する構図が続くことになり、変化が何も生まれないことにマーケットは失望しそうだ。

 東京電力9501.Tへの支援スキームについても、現政権は他の電力会社や銀行などに広く負担を担ってもらおうという姿勢がにじみ出ており、マーケットは不安感を抱き続けるだろう。

 菅直人首相は辞任表明を行ったものの、東日本大震災の対応に一定のめどがついた段階としており、時期は不透明だ。株買い戻しが起きずにぐずぐずした地合いがしばらく続くとみている。

●当面はモラトリアム状況で金利低下圧力も

 <SMBC日興証券 チーフストラテジスト 末澤豪謙氏>

 菅直人首相が民主党代議士会で震災対応のメドがつけば辞任する意向を示した後、鳩山由紀夫前首相が内閣不信任決議案への反対を明確化したことで、内閣不信任決議案の否決は予想通りだった。この結果、菅政権が維持され、現時点では税と社会保障の一体改革などをまとめているため、財政面では債券には追い風として働く面がある。

 もっとも、今後1カ月、2カ月後の菅直人首相の進退は不透明で、仮に辞任した場合は代表選挙で新たな代表を選ぶことになる。経済財政政策がどうなるかをマーケットは確認していくことになる。当面はモラトリアム的な状況で長期金利には低下圧力がかかる可能性があるが、数カ月後には逆の流れも考えられる。

●不透明感払拭ならず政治リスクくすぶる

 <カブドットコム証券 マーケットアナリスト 山田 勉氏>

 今回の内閣不信任決議案の提出をきっかけに通年国会での第2次補正予算の編成と菅首相の辞任が表明された。ただ、不信任案が否決されたことで基本的には現状維持となり、大きな変化はない。民主党の分裂が回避され、菅政権が継続する見通しとなったが、ねじれ国会のなかで復興基本法案や税制改正法案など重要法案の成立に関する展望が見えてこない。引き続き法案成立の可否が注視されるだろう。

 株式市場にとっても不透明要因の払しょくとはならず、政治リスクとして意識され続けるとみている。

●民主党政権の安定化を期待、クレジットにややプラス

 <三井住友銀行キャピタル・マーケット・アナリスト 上雅弘氏>

 基盤が揺らいだ民主党政権は再び安定化の方向に向かうとみている。内閣不信任案の否決や菅直人首相の退陣表明で、野党としても次の攻め手を欠く状況が続くのではないか。菅首相の後任は不透明だが、約2年後の衆議院議員任期まで民主党政権が続く可能性が高まった。

 市場には、内閣不信任案が可決された場合には、解散・総選挙、政権枠組みの変更を期待する声もあったが、震災復興という待ったなしの課題を抱える中、現段階でこれ以外の選択肢は見当たらない。政局への警戒感がいったん和らぐという点で、クレジット市場にややプラスの要因とみている。

*コメントを追加して再送します。

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