[ニューヨーク 17日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、イタリアのソブリン債格付けを「Aa2」から引き下げる方向で見直すと発表した。欧州中央銀行(ECB)の利上げにより同国の景気回復が腰折れする可能性があるとしている。
硬直的な労働市場など、構造的な弱さが成長への課題となっているほか、高債務国の資金調達状況をめぐる懸念が高まっていると指摘した。
ムーディーズは声明で「格付けの見直しは、今後数年間の同国経済の成長見通し、特に中期的な経済回復強化の足かせとなる可能性がある重要な構造的障害を取り除けるかに焦点を当てる」と説明した。
イタリア経済は、低い生産性や「労働市場および製品市場の硬直性」といった長期の構造的な弱さを抱えているとし、こうした問題が過去10年以上にわたって成長を阻害してきたと分析した。
「世界的な危機の間にイタリアの国内総生産(GDP)は7%ポイント近くが失われたが、低金利にもかかわらず、そのうちのごく一部しか取り戻していない。金利は中期的に上昇する公算が大きい」と指摘した。
ムーディーズのアナリスト、アレクサンダー・コッカーベック氏はロイターのインタビューで「ここしばらくイタリアは構造的な成長阻害要因を抱えてきた。現在はこうした課題に金利上昇やぜい弱な市場心理といったシナリオが加わっている」と述べた。
欧州の債務危機の解決策やECBの金利への影響もイタリアの格付け見直しに影響すると語った。