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米債務引き上げ協議は依然平行線、与野党で独自案の検討続く

 [ワシントン 25日 ロイター] 米民主党と共和党は25日も、連邦債務上限の引き上げと財政赤字削減問題をめぐって、それぞれが独自案の検討を続けている。米国の債務返済に支障が生じるとされる8月2日の期限が迫るなか、与野党に歩み寄りの兆しは今のところ見られず、米格下げや、債務不履行(デフォルト)の可能性が高まっている。

 7月25日、米民主党と共和党は、連邦債務上限の引き上げと財政赤字削減問題をめぐって、それぞれが独自案の検討を続けている。写真はワシントンで公演するオバマ大統領(2011年 ロイター/Larry Downing)

 交渉が行き詰まっていることで世界の市場は動揺。株式とドルが下落し、金は過去最高値をつけた。ただパニック的な売りは起きていない。 

 野党共和党指導者のベイナー下院議長の提案について、詳細が明らかになった。この提案では2段階での連邦債務上限引き上げ・財政赤字削減を提唱しており、当初は10年間で1兆2000億ドルの歳出を削減し、債務上限を1兆ドル引き上げる。また増税は盛り込まれていない。

 この案では、オバマ大統領が再選を目指す2012年11月の大統領選前に、再び政治的な影響の大きい問題に取り組むことになる。大統領は、段階的な引き上げには反対しており、2012年いっぱい資金が確保できるよう、2兆4000億ドル程度の一括引き上げを望んでいる。

 民主党のリード上院院内総務の案は、防衛費などの大幅削減を含む10年間で2兆7000億ドルの歳出削減を実施。債務上限も一括で引き上げ、2012年いっぱいの資金を確保するという内容。共和党がすでに合意している1兆2000億ドルの歳出削減も含まれる、という。

 リード上院院内総務案は、増税を盛り込まず、当初反対していた水準の裁量的支出削減を呼び掛けているという点で、民主党にとっては妥協と言える。ただ、メディケア(高齢者医療保険)やメディケイド(低所得層向け医療保険)など福祉プログラムの削減には踏み込まなかった。

 ホワイトハウスは、民主党のリード上院院内総務の案への支持を即座に表明。共和党に対して「ボールはそちらの側にある」と呼びかけた。 

 米議会では、共和党が下院で、民主党が上院で過半数を占めている。

 共和党は、財政的に保守的な立場の茶会党を中心に、増税に強く反対。民主党は福祉プログラムの削減は好まず、一定の増税を支持する。

 どちらの案でも、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債の格下げは、回避できないかもしれない。S&Pは、10年間で4兆ドル規模の財政赤字削減策が望ましい、との見方を示している。

 オバマ米大統領は、ヒスパニックグループの講演で、与野党は歩み寄り問題を解決する責任がある、と述べた。大統領は、デフォルトはないとも強調。与野党が合意できなかった場合には、大統領は憲法の条項を利用して借り入れを継続する可能性がある、との見方が広がっている。

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