[ニューヨーク 27日 ロイター] 27日の米国株式市場は大幅続落して終えた。弱い企業決算やさえない経済指標に加え、連邦債務上限引き上げをめぐる与野党協議でも進展が見られず、地合いが悪化した。
ダウ工業株30種.DJIは198.75ドル(1.59%)安の1万2302.55ドル。
ナスダック総合指数.IXICは75.17ポイント(2.65%)安の2764.79。
S&P総合500種.SPXは27.05ポイント(2.03%)安の1304.89。
相場は6月1日以来の大幅下落となり、ナスダックとS&Pは3営業日続落、ダウは4営業日続落となった。S&Pは50日移動平均を下回り、アナリストは200日移動平均の1283.6が支持線水準になるとみている。
8月2日とされるデフォルト(債務不履行)回避期限を目前に控える中、今週は連邦債務上限引き上げ問題が市場の焦点となっているが、この日は工業・テクノロジー企業によるさえない決算が材料視され、失望売りが膨らんだ。
米ネットワーク機器メーカーのジュニパー・ネットワークスJNPR.Nは20.9%急落。同社は、通信プロバイダーへの販売不振を理由に第2・四半期決算が市場予想を下回るとの見通しを明らかにするとともに、第3・四半期についても慎重な見方を示した。
これを受け、今回の決算シーズンで底堅さを見せていたテクノロジー株に対する地合いが悪化。S&P情報・技術(IT) 株指数.GSPTは3%安となった。
また取引終盤にかけて、ホワイトハウスが債務上限が引き上げられない限り、政府は8月2日以降、借り入れ権限を失うと警告したことで、売りが加速した。
デフォルトに加え、米格下げをめぐる懸念も高まっており、S&Pは今週に入り3%近く下落している。
アバロン・パートナーズの市場エコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「市場はデフォルトに関して、本当に懸念し始めている。実際に起こるとは思わないが、格下げに向かっているかもしれない。格下げの可能性は日に日に高まっている」と述べた。
また投資家の多くは、上限引き上げ協議の結果を見極めたいとして様子見姿勢を維持している。ノース・スター・インベストメント・マネジメントのエリック・クビィ最高投資責任者(CIO)は「過去数日は新たな買いを入れることを控えている」と明らかにした。
この日発表された6月の耐久財新規受注は季節調整済み前月比で2.1%減となり、予想外に減少した。エコノミスト予想は0.3%増だった。また設備投資の先行指標とされる航空機除く非国防資本財の受注も0.4%減少した。
米連邦準備理事会(FRB)が同日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、6月から7月半ばにかけて、米国の大半の地域で経済成長が鈍化したとの認識が示された。
電機・電子機器大手のエマソン・エレクトリックEMR.Nの受注の伸びが鈍化していることも、工業株の決算に対する懸念を高めた。エマソン・エレクトリックは6.7%急落。
株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数).VIXは13.6%上昇した。上昇は3営業日連続。アナリストは、VIX指数が米国の格下げの可能性を織り込んでいるとみている。
売りが膨らんだことで出来高は増加。ニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、ナスダックの3市場の出来高は約86億9000万株となり、1日平均の74億7000万株を上回った。
ニューヨーク証券取引所では、値上がり株1に対し値下がり株がおよそ14、ナスダックでは値下がり株およそ7に対し値上がり株1の割合となった。
(カッコ内は前営業日比)
ダウ工業株30種(ドル).DJI
終値 12302.55(‐198.75)
前営業日終値 12501.30(‐91.50)
ナスダック総合.IXIC
終値 2764.79(‐75.17)
前営業日終値 2839.96(‐2.84)
S&P総合500種.SPX
終値 1304.89(‐27.05)
前営業日終値 1331.94(‐5.49)
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