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政府・与党が欧州危機の「有事」対応、外為特会活用も

 [東京 16日 ロイター] 欧州ソブリン危機による金融市場の動揺が続く中、政府・与党が「有事」対応策の検討に入った。日本企業のドル資金など外貨調達に支障が生じた場合に備え、与党内では1兆ドルを超える外国為替資金特別会計の外貨資金を活用する案が浮上。

 9月16日、欧州ソブリン危機による金融市場の動揺が続く中、政府・与党が「有事」対応策の検討に入った。写真は日銀本店で8月撮影(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 金融機関の外貨調達策としては、すでに日銀が米連邦準備理事会(FRB)との通貨スワップによる無制限の米ドル資金供給オペレーションを実施しているが、日銀が保有する外貨資金の供給も選択肢との指摘が出ている。 

 <欧州情勢を緊張感持って注視>

 ギリシャのデフォルト(債務不履行)などリスクが表面化した場合は、世界経済の減速や金融市場の混乱など様々な形で日本経済に影響が及ぶ懸念がでている。2008年のリーマン・ショック後の世界金融危機においても、「需要の蒸発」によって生産や企業収益が急激に落ち込むなど、日本の実体経済は大きく冷え込んだ。今後の動向について政策当局はなお強い警戒感を示している。

 日本経済や企業活動への悪影響はまだ深刻化していないが、野田佳彦首相の指示をうけ、政府は「世界的な経済危機への対応」について検討を開始。円高対策を中心とした「緊急経済対策」を策定しており、2011年度予算の予備費や11年度第3次補正予算を投入するか考えだ。日銀も、世界経済の減速などによって日本経済の下振れリスクが一段と高まった場合には、追加の金融緩和措置も辞さない姿勢を示している。

 <外為特会の仲介機関を邦銀にも拡大、国債担保に長期資金を融通>

 さらに、欧米の金融市場でシステミックリスクが広がり、日本企業のドル資金など外貨調達に支障がでる場合に備え、与党内には1兆ドルを超える外為特会の外貨資産を活用する案が出ており、政府にも打診しているとみられる。財務省では8月24日に円相場の安定とエネルギー資源の獲得などを狙い、外為特会を活用した1000億ドル規模の基金創設を打ち出しているが、この外為特会を日本企業の資金繰り支援など危機対応に活用できないか、というのが民主党案の内容だ。

 財務省の施策は、国際協力銀行(JBIC)を経由して海外企業のM&A(合併・買収)や資源・エネルギーの確保・開発促進に資金を提供する。民主案では仲介金融機関を邦銀にも拡大し、邦銀保有の国債を担保することで、機動的に長期の外貨資金を供給することが検討されている。担保や与信の管理は日銀が代行することも念頭においている。

 <日銀はドル供給オペで対応、保有外貨資産の活用案も>

 一方、邦銀の外貨の資金繰りに支障が出る場合は、日銀が対応する。 すでに日銀は米連邦準備理事会(FRB)との通貨スワップによる無制限の米ドル資金供給オペレーションを実施しており、有事の際には同オペを積極的に活用する方針だ。15日には、日米欧の中銀が欧州の金融危機に対応するため、協調して年末に向けたドル資金供給オペの実施を発表。邦銀については、 リーマンショックによる混乱が落ち着いて以降、オペ需要が大きく減退しているが、今後、欧米金融市場が不安定化すれば、外貨調達難に陥る可能性は否定できない。

 もっとも、民主党内からは「事態が深刻化した場合は、もっと低い金利で、かつ長期に資金供給できる仕組みも必要」(幹部)として、日銀が保有する外貨資産を活用すべきとの声もある。この点について白川方明日銀総裁は、今年7月の国会答弁で「万が一、本邦金融機関が外貨流動性不足に直面した場合、緊急対応として、日銀が保有する外貨資金を供給するケースはあり得る」と語っており、有事の選択肢にのぼる可能性がある。日銀の保有外貨資産は、2011年3月末時点で4兆7000億円程度となっている。

 (ロイターニュース 伊藤純夫 編集:北松克朗)

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