[ローマ 7日 ロイター] 格付け会社フィッチは7日、イタリアとスペインのソブリン信用格付けを引き下げた。ユーロ圏債務危機の悪化や、両国の財政健全化をめぐるリスクを理由に挙げた。
フィッチは、イタリアの格付けを「AAマイナス」から1段階引き下げ「Aプラス」に、スペインを「AAプラス」から2段階引き下げ「AAマイナス」とした。
見通しはともに「ネガティブ」を継続し、今後さらに格下げする可能性を示唆した。
フィッチは声明で「(ユーロ圏)危機対処で信頼の置ける包括的解決策を打ち出すことは、政治的および技術的に複雑で、導入までに時間がかかる」との見解を示した。
イタリアについては、国債利回り上昇に対する政府の対応が当初は消極的だったことによって、市場の信認が揺らいだと指摘した。
格下げにより、イタリアの格付けはマルタやスロバキアと同水準となった。
スタンダード&プアーズ(S&P)は前月、イタリアの長期・短期ソブリン非依頼格付けを「A+/A─1+」から「A/A─1」に1段階引き下げたほか、ムーディーズ・インベスターズ・サービスも今月に入り、同国の格付けを「Aa2」から「A2」に3段階引き下げている。
格下げのニュースを受け、ユーロは対ドルや円で下落した。しかし、アナリストはイタリアの格下げはおおむね織り込まれていたと指摘した。
BNPパリバのストラテジスト、アレサンドロ・テントーリ氏は「フィッチの格下げの根拠は、他の格付け会社2社が示している理由と大差がない。格下げに反応して市場が大きく動くとは予想していない」と述べた。
また、フィッチはこの日、ポルトガルの格付けをレーティング・ウオッチ・ネガティブに維持すると発表した。
フィッチは現在、ポルトガルの外貨建て、および自国通貨建て長期発行体デフォルト格付け(IDR)を「BBBマイナス」、短期IDRを「F3」としている。
スペイン経済省の報道官は格下げを受け、「(フィッチの)決定は尊重するが、われわれは同意していない」と述べた。
イタリアのフラッティニ外相は、フィッチによる格下げは予期していたとし、「市場はフィッチやムーディーズなどの役割をさほど気に掛けていない」と述べた。