[ニューヨーク 18日 ロイター] 米大手金融機関ゴールドマン・サックスGS.Nは、今年のボーナス支給額を最低でも20%カットする方針だ。ただ、業績の急落により、専門家の中にはさらなるカットに追い込まれるとの見方もある。証券発行の低迷やトレーディング益の不振を受けて、報酬カットの流れは世界の金融センター、ウォール街全体に広がりそうだ。
報酬コンサルタントを営むアラン・ジョンソン氏は、ウォール街のボーナス支給総額は今年、前年比で30─50%落ち込む可能性もあると指摘する。「通常はある程度の同情を集めるものだが、『ウォール街を占拠せよ』とのスローガンを掲げた抗議活動が続いている現状では、もっと引き下げられるべきと考える人もいるだろう」と話す。
ゴールドマン・サックスの従業員1人当たりの報酬は、今年1─9月で29万2836ドル。前年同期の37万0706ドルに比べ21%減にとどまっている。ただ、ほとんどが今年1─6月に支給された分で、7─9月に限れば1人当たり4万6000ドルにすぎず、前年同期比57%減と驚くべき下落率となっている。
<他社も報酬カット>
ほかの金融機関も報酬カットを検討している。
つましさで知られるJPモルガン・チェースJPM.Nは今年、投資銀行部門の従業員に対する報酬総額を収入77億ドルの35%にとどめている。これは前年同期の39%と比べて下がっており、ゴールドマン・サックスの44%と比べても低い数値だ。
バンク・オブ・アメリカBAC.Nのブルース・トンプソン最高財務責任者(CFO)はアナリストに対し、自社の投資銀行部門が今年のボーナスカットを検討すると発言。シティグループC.Nのビクラム・パンディット最高経営責任者(CEO)もさえないパフォーマンスに報酬総額を合わせるべきとの考えを示している。
人材会社アライアンス・コンサルティングのポール・ソーベラ社長は、顧客は一様に今年を「失望の年」と位置付けているとした上で、各金融機関はゴールドマン・サックスよりも高い率の報酬カットに乗り出すと予測する。「報酬交渉に当たって今年は『ベア市場』と言わざるを得ない」と話した。