[バンコク 27日 ロイター] 洪水被害が拡大しているタイでは27日、この日から臨時休日を含む5連休に入り、首都バンコクでも住民の避難が本格化している。
バンコク中心部の道路は空いているが、洪水被害を受けていない南部へ向かう幹線道路は混雑している。パタヤに向かう人が多く、現地ではホテルの空室を見つけるのが困難な状況だという。
現地テレビは、浸水で使えなくなったドンムアン空港から機能移管されたスワンナプーム国際空港の国内便カウンターが、乗客でごった返す様子を報じている。
過去50年で最悪となった今回の洪水では、これまでに少なくとも373人が死亡し、被災者は約250万人に上る。
バンコクの北部ではすべての県が浸水しており、主要産業の建物に被害が出ているが、バンコク商業地の中心、チャオプラヤ川西側のバーンプラット地区でも24日夜に洪水警報が発令されている。
インラック首相は26日、バンコクの一部地域は1カ月にわたって浸水が続く恐れがあると警告。スクムパン知事もバンコクに「大量の水が迫っている」とし、「多くの地域が危機に陥る可能性がある10月28─31日は状況を注視する必要がある」と述べた。
タイの大規模洪水では、世界の電子機器メーカーに供給障害が出ているが、国内200万人以上の雇用を抱え、国内総生産(GDP)の6%を占める観光産業にも大きな打撃を与えるとみられる。
チュムポン観光相は2011年の海外からの渡航人数について、政府が目標とする1900万人を50万─100万人下回る可能性があると述べた。