[バンコク 29日 ロイター] タイのインラック首相は29日、バンコクの北に位置する地域では、大量の水を運河などから海に流すことで水が引き始めており、首都バンコクでの洪水被害拡大の脅威は弱まったと述べた。しかし、タイ湾では大潮がピークを迎えるため、依然予断を許さない状況が続いている。
国営テレビを通じてインラック首相は、運河やポンプによる排水が奏功し、バンコクに大量の水が流れ込む危険が小さくなったと説明。「この状況が続けば、バンコクの洪水は11月第1週に引き始める」との見通しを示した。
一方で、現地当局は、チャオプラヤ川西側のトンブリーは運河が少ないため、3日以内に浸水すると予想している。
過去50年で最悪となった今回の洪水では、これまでに377人が死亡し、被災者は約250万人に上る。また、ハードディスクドライブ(HDD)の生産拠点などが操業停止に追い込まれるなど、世界の電子機器メーカーに供給障害が出ているほか、世界最大のコメ輸出国である同国の農地も大きな被害を受けている。バンコクでは、生活必需品の買いだめに走る市民も多く、卵の価格は4倍にはね上がったという。