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政府・日銀が円売り介入、一時79円台に:識者はこうみる

 [東京 31日 ロイター] 安住淳財務相は31日午前、市場の投機的な動きに歯止めをかけるため、ドル買い/円売りの市場介入を実施したことを明らかにした。介入は単独介入。安住財務相は「実体経済を反映しない一方的・投機的な動きが続いている」とし、「納得いくまで介入する」と円高阻止に向けた決意を語った。

 10月31日、安住淳財務相は、市場の投機的な動きに歯止めをかけるため、ドル買い/円売りの市場介入を実施したことを明らかにした。都内のトレーディングルームで撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 市場関係者のコメントは以下の通り。

●ドル/円の最安値更新の流れが変化へ

 <バークレイズ銀行チーフFXストラテジスト、山本雅文氏>

 政府・日銀が介入に踏み切ったが、米長期金利が上昇し始めたというトレンドにも沿った動きで、ダウンサイドリスクが変化する可能性がある。今回の介入によって、これまでのようにどんどんドル/円が最安値を更新することはなくなるだろう。

 介入はいつあってもおかしくなかったが、株価やクロス円がしっかりしていたことを考えると、タイミング的には若干のサプライズがあった。ただ、75円を割り込むと大きく下がるリスクもあり、このタイミングで踏み切ったのではないか。

●株価の上値余地広がる、世界株が上昇基調保てばじり高期待

 <立花証券 執行役員 平野 憲一氏>

 前回、為替介入のあった8月4日以降、世界的に大きく株価が下落したことで、介入に対するイメージはあまりよくない。日本株は戻り売りに押されているようだ。ただ、日経平均が直近高値を抜けてきたことで、チャート的には上値余地が広がってきた。今年3月後半以降、9300円─1万0200円のレンジで4カ月以上もみあいを続けていた期間の売買代金が約100兆円あるため、現在の売買ボリュームでは急激な上昇は難しいとしても世界的に株価が上昇基調を保っていけば、じり高が期待できる。

●ドル安主導の円高、リスクオフに地合い転じればドル/円下げづらい

 <JPモルガン・チェース銀行 チーフFXストラテジスト 棚瀬順哉氏>

 介入は持続的に実施されず単発に終わる可能性が高く、効果については、昨年9月、今年8月と同様に、介入当日に大幅に上昇したあとは、反落に転じ、元の水準に戻る蓋然性が高いとみている。

 円は3日連続で最高値を更新したが、現在のドル/円の下落は、あくまでもドル安主導で起きているものだ。今後もグローバルな株価の堅調さが維持され、リスクオンの流れが続くとすれば、ドル安トレンドは収束しないだろう。

 他方、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和第3弾に否定的なニュアンス広がったり、弱い米景気指標が出た場合には、市場の地合いがリスクオフに転換し、ドル/円が下げづらい環境となるだろう。

●相対的な円高圧力残り、金利上昇限定か

 <東海東京証券 チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏>

 政府・日銀は介入に踏み切れないだろう、と見切っている参加者が多かった。このため、このタイミングでのドル買い/円売り介入の実施で、円相場が79円台まで崩れた。もっともサプライズ的な動きにとどまり、しばらくは相対的に円高圧力がかかりやすい状況は変わらないだろう。

 円債市場では、あす1日に10年物国債の入札を控えており、上値の重い展開が続いているが、10年物で1.05%を超えたり、20年物で1.8%、30年物は心理的節目の2%をうかがう状況となっており、一方向の相場下落は考えづらい。このレベルに達すれば、金利上昇にいったん歯止めがかかるのではないか。

●過去最大の規模か、ドル79円後半まで上昇なら大きなメッセージ

 <外為どっとコム総合研究所 社長 植野大作氏>

 政府が円高対策を閣議決定して以降、円は断続的に最高値を更新しており、介入のタイミングに意外感はない。むしろ遅すぎたと思っている人が多い。

 すでに3兆円は使ったような相場の上昇のペースだ。安住財務相は納得いくまで介入すると発言しており、これまで最大だった前回の4兆5000億円を最終的に上回るのではないか。そのために3次補整で介入予算を15兆円引き上げた。

 ドル/円は一目均衡表の雲をすでに抜いた。200日移動平均線がある79円89銭辺り、場合によっては80円まで上昇するのであれば、かなりのメッセージ性を持った介入になると思う。しかし200日線あたりで止まると、また米景気次第で押し戻されるかもしれない。

●介入効果は長続きせず

 <ステート・ストリート銀行 金融市場部長 富田公彦氏>

 これまでのドル安/円高の進行は、非常に静かで過熱感のないものだった。投機的な動きによるものというよりは、実需を含めた市場の需給でやはり円買いが強かったためと受け止めている。介入による需給の変化で一時的にはドルが上昇するが、それ以外の需給が変わるわけではない。介入が一巡すれば、ドル/円は再び最安値圏でのじり安の動きに戻るだろう。ただ、ドルが急落することはないとみている。

 明日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)では米量的緩和第3弾(QE3)は見送られるとみており、市場のQE3期待は行き過ぎだ。また、第4四・半期の米実質国内総生産(GDP)は3%成長の可能性もあるとみている。ただ、こうしたファンダメンタルズがドル/円に反映されるには、もう少し時間がかかりそうだ。

●決済日の払い超過幅を注視

 <セントラル短資 執行役員総合企画部長 金武審祐氏>

 政府・日銀によるドル買い/円売り介入で、円相場は75円台前半から79円台半ばまで下落した。現状でも、投機筋を中心に円買いに動く先は少なくないとみられ、この円相場のレベルを中長期的に維持するためには、相当程度の金額が必要だ。

 介入が実施される前の段階では、決済日に当たる11月2日の財政等要因に関しては、普通交付税3.2兆円が「払い」の要因となる一方、法人税や労働保険料などで3兆円の「受け」が予想され、差し引きで0.2兆円程度の払い超になる見込み。円売り介入のケースでは、財政等要因の払い要因となるため、0.2兆円程度からどの程度上積みされるかを注視したい。

●市場は介入の本腰度を見極め、株への影響は限定的

 <みずほ投信投資顧問 投資調査部シニアストラテジスト 清水毅氏>

 市場は介入で円安が進んだものの、この水準をキープできるのかどうか、疑問視する向きは多い。介入をどれだけ本腰を入れてやるのかを見極めている状態だ。このため株式市場への影響は限定的になっている。

 1方、タイの洪水の影響は当初より長引きそうだ。実際には水が引いてみないとわからない部分もあるが、現時点では企業収益への影響は最大で数パーセントにとどまるとみている。

*内容を追加して再送します。

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