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ソニーは4年連続最終赤字へ、不振の液晶テレビは改善策公表

[東京 2日 ロイター] ソニー6758.Tは2日、2012年3月期の連結当期純損益(米国会計基準)を900億円の赤字に下方修正したと発表した。最終赤字は4年連続。従来予想は600億円の黒字で、前年同期は2596億円の赤字だった。

 11月2日、ソニーは2012年3月期の連結営業利益(米国会計基準)予想を前年比90.0%減の200億円に下方修正すると発表した。10月撮影(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 液晶テレビ事業の赤字が通期で1750億円(前年同期の赤字は750億円)に拡大するほか、急激な円高ユーロ安の進行やタイの洪水被害が響く。テレビ事業の立て直しについては同日、収益改善策を発表し、14年3月期に黒字化を目指す方針を示した。

 通期の売上高は従来予想の7兆2000億円から6兆5000億円(前年同期は7兆1813億円)、営業利益は従来予想の2000億円から200億円(同1998億円)に、それぞれ減額。会社側の営業利益予想は、トムソン・ロイター・エスティメーツによるアナリスト16人が過去90日間に出した予測平均値の1591億円を大幅に下回る。

 8年連続で赤字になる液晶テレビ事業の今期の損失額は1750億円で、販売台数の減少、価格下落や為替の影響によって、従来まで「前年並みかそれ以上」と想定していた赤字額より大幅に膨らむ。通期のテレビ販売計画は従来計画の2200万台から2000万台に下方修正した。通期のコンパクトデジタルカメラの販売計画は従来の2400万台から2300万台に引き下げた。ただ、いずれの販売計画もタイ洪水の影響を織り込んでいないという。

 急速な円高を反映し、10月以降の想定為替レートはドル75円(従来想定80円)、ユーロ105円(同115円)にそれぞれ見直した。7月以降の円高進行で通期営業利益に650億円の悪化要因となる。

 タイの洪水被害の影響は、アユタヤのハイテク工業団地のデジタルカメラ工場の建屋内に浸水被害があり操業を停止中。ミラーレスカメラ「NEX」を含むデジタル一眼の製造工場で、コンパクトデジカメ「サイバーショット」の上位機種も製造しており、年末商戦で発売を予定していた一眼カメラの発売を延期するなどの影響が出ている。またハンガディ工業団地のイメージセンサーやLSI関連の半導体工場も停止中。これらタイの洪水被害は通期の営業利益を250億円押し下げる。

 <ソニー・エリクソンの評価差益で500億円計上へ>

 記者会見した加藤優最高財務責任者(CFO)はテレビの販売低迷について「欧米中心の市場が一番大きな要因だ」と述べた。また為替の円高進行は「製造の海外移転をするにしても一朝一夕にできない。対応するにしても厳しい」との認識を示した。タイの洪水被害の影響額250億円は「現時点の想定で、これから大きな影響が出るかもしれない」としてさらなる影響拡大の可能性を示した。

 一方で、来年1月にソニー・エリクソンを完全子会社化することで現在の50%の保有分について1―3月期に500億円の評価差益を連結営業利益に計上する。これを差し引けば、通期の営業利益予想で赤字になる計算だが、加藤CFOは「計算上はそうなるが、一部の見方でしかない」と述べた。

 <テレビの収益改善で14年3月期に黒字化へ>

 ソニーは同日、液晶テレビの赤字脱却に向けて収益改善策を発表した。今期の赤字見込みの1750億円から来期は赤字額を半減させ、14年3月期に黒字化を達成する。記者会見した平井一夫副社長は「これは必達目標で不退転の決意で取り組む」と語った。

 これまでは13年3月期にテレビの世界販売は4000万台を計画していたが、今期見通しを2000万台に下方修正するのに合わせて、今後は2000万台の体制までテレビ事業を縮小する路線に転換する。これに伴って、今期は設備減損や販売モデルの削減で500億円の費用を計上する計画で、今期の赤字見込みの1750億円のうち、この500億円を除いた1250億円をテレビの黒字化に必要な改善額として改善を図る。

 これまでも「アセットライト(資産軽量化)」の方針で、テレビ工場の売却を進めてきており世界で4か所まで絞られた。このため平井副社長は「固定費削減は相当の効果が出ている」としてこれ以上の追加削減には厳しい認識を示した一方で、「変動費」の中の液晶パネルの調達コストの削減が大きな課題だと指摘した。

 1250億円の改善額のうち液晶パネル関連のコスト削減が約4割と想定。平井副社長は「パネルコストで大きいのはS―LCD」と述べて、韓国サムスン電子005930.KSとの液晶合弁について「サムスンといろいろな施策について議論する必要がある」と述べた。ただ、同合弁を解消する考えについては「現時点で発表するものはなく憶測にはコメントしない」とした。

 <4―9月期は中小型液晶売却で減損処理も>

 2011年4―9月の連結業績は、売上高が前年比9.6%減の3兆0699億円、営業利益が同80.9%減の258億円。営業利益の通期予想は200億円のため、下半期は赤字を計上する計画。液晶テレビの販売減少や為替の円高進行で減収だったほか、テレビ関連資産の減損処理を実施。さらに、来春をめどに中小型液晶事業を産業革新機構が主導するジャパンディスプレイに売却することで資産の減損を費用として計上した。

 テレビ事業の営業赤字額は4―6月期で140億円、7―9月期で410億円だった。4―9月期の当期純損益は424億円の赤字(前年同期は568億円の黒字)。中間期の最終赤字は2年ぶり。

 <株式市場はここまでの悪化を織り込んでいない>

 ソニーの決算について、ベイビュー・アセット・マネジメント運用第一部長の佐久間康郎氏は「通期予想が大幅に下方修正され、市場コンセンサスを大きく下回る見通しとなったことはネガティブだ。液晶テレビ事業の下振れはある程度想定されたが、ユーロ安に伴う業績へのマイナスインパクトが大きい印象」としたうえで、「パナソニック6752.Tなどと比べて軽量経営を進めてきただけに減損の影響は相対的に小さいのではないか。株価に対しては大幅な業績下方修正が下押し要因となるだろうが、すでに底値圏にあるため売りも短期にとどまるとみている」と指摘した。

 また、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントのシニア・インベストメント・マネージャーの菅原繁男氏は「利益水準の低さに驚いた」としたうえで「足元の環境を考えると、利益が吹っ飛んでもおかしくないが、株式市場の期待はここまでの業績悪化を織り込んでいない。為替やマクロ環境、タイの洪水被害の悪化を理由にあげたが、利益がゼロ近辺まで落ち込んでしまうのは抵抗力がなさすぎる。会社の体質に問題があると改めて感じた」と述べていた。

 (ロイターニュース 村井令二 久保信博 取材協力:杉山容俊 岩崎成子)

*内容を追加して再送します。

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