[東京 16日 ロイター] 前場の東京株式市場で日経平均は続落した。欧州財政問題への懸念は残るものの、イタリア新政権への期待感や予想を上回る米経済指標で米株が上昇したことを受け、東京市場も買い先行。
ただ、欧州財政危機への懸念が払しょくされていないほか円先高警戒感などが上値を抑えた。海外勢の売り買いが交錯し前日終値付近でもみあった。薄商いが続くなかモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の指数銘柄の定期見直しが材料となった。
東証1部騰落数は、値上がり443銘柄に対し値下がり938銘柄、変わらずが223銘柄だった。東証1部売買代金は3176億円。
15日の米国株式市場は反発して引けた。欧州債務危機が制御不能な状況に陥る恐れがあるとの懸念は根強いがイタリア新政権の陣容が近く発表される見通しとなったことに加え、10月小売売上高が予想を上回ったことが追い風となった。ニューヨーク証券取引所など3市場の出来高は約63億株。年初来の1日平均である約80億株を大きく下回るなど商いは低調だった。
米株高を受け東京市場も買い先行。ただ、欧州財政危機への懸念が払しょくされていないほか外為市場で円先高警戒感やタイ洪水被害への影響などが上値を抑えた。大手証券の株式トレーダーは「国内企業の業績下方修正が相次ぎ株価の割安感も薄らいでいる」と指摘する。引き続き手掛かりが乏しく前日の取引同様に薄商い。
前場の日経平均は前日終値付近で一進一退が続いた。欧州系証券の株式トレーダーによると、海外勢の動きとして、欧州の年金などが自動車や半導体、金融、内需などのセクターで売り買いしているのが観測される。ただ「規模は小さく、やや売りが優勢」となっているという。一方、国内勢は動きがみられないと指摘される。
MSCIスタンダード・インデックスの定期見直しで、サンリオ8136.Tが新規採用され逆にミネベア6479.T と三井造船7003.T は除外された。サンリオは序盤から買われ14日に付けた年初来高値4195円に接近。また、エルピーダメモリ6665.Tは急反発した。大手証券の株式トレーダーによると、エルピーダがMSCIインデックスから除外されるとの思惑から前日は売られていたが、そうならなかったことで買い戻されたとみている。
個別銘柄ではオリンパス7733.Tはストップ高となる前日比100円高の740円で寄り付いた。その後650円まで上げ幅を縮小させた後は、再び買い気配になるなど荒い値動き。上場維持の可能性が出てきたとの見方から短期筋の買い戻しが殺到していたが、依然として監理銘柄(確認中)に指定されており、機関投資家などは「自社の運用ガイドラインから手を出しにくい」(国内投信ファンドマネージャー)という。
(ロイターニュース 吉池 威)