[15日 ロイター] 米アップルAAPL.Oは先月死去したスティーブ・ジョブズ会長の後任となる新会長として、米バイオ医薬品大手ジェネンテックのアーサー・レビンソン会長を指名した。
また、世界最大の娯楽・メディア複合企業、米ディズニーDIS.Nのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)を新たに取締役会メンバーに迎えた。
レビンソン氏は、2005年からアップルの取締役の共同代表を務めてきた。
同社が新会長に独立性の高い人物を起用したことについて、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の専門家からは評価する声が上がっている。ボストン大学経営大学院のジム・ポスト教授は「取締役らはスティーブ・ジョブズ氏の影から抜け出し、独立した取締役会として行動する必要がある。(アップルが)本日とった一連の行動は同社を良い方向に導くものだ」と述べた。
ジョブズ前会長の時代には、市場の話題にもたびたび上った同氏の体調問題が取締役会メンバーにも秘密にされていたことに対し、一部の専門家らが疑問を呈していた。
一方、ディズニーのアイガー氏を新たに取締役に起用したことについて、市場では、米オンライン小売大手アマゾンAMZN.Oや米ネット検索大手グーグルGOOG.Oとのコンテンツやその配信面での競争を本格化させるアップルの意向の表れとみる向きが広がっている。
故ジョブズ氏もかつてディズニーの取締役を務めるなど、アップルとディズニーの間には以前からつながりがある。ジョブズ氏が1986年に買収したアニメ制作会社ピクサーをその後ディズニーが買収したことをきっかけに、同氏はアイガー氏とも深い親交を結んだ。