[東京 22日 ロイター] 東京外為市場正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点から上昇の77円台前半。安住淳財務相の発言をきっかけに投機筋によるドル買いが進んだ。
上昇過程では77.20円付近の損失確定のドル買いを巻き込んだほか、一部国内金融機関の買いも入った。ユーロ/ドルは一時1.35ドルを回復したものの、引き続き上値の重さが目立った。
ドル/円は77.35円まで上昇した。安住財務相は22日午前の衆院財務金融委員会で、国家戦略会議において岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)が、円高是正に向けて日銀が50兆円規模の外債を購入する「金融危機予防基金」の創設を提案したことについて「結果的に為替介入と同じになる。これまでのわれわれの考えとは違う」と慎重な見解を示した。市場参加者によると、これを一部通信社が日銀の外債購入は為替介入になる可能性と切り取って報じたため、「介入期待感から短期筋のドル買いを誘った」(外銀)という。
その後ドル/円は戻り売りに押されたものの、正午現在で77円台をキープしている。外為どっとコム総研社長、植野大作氏は「発言を誤解してついたレートであれば、本来は長続きしない」としながらも、「これから祝日などで商いが薄くなる中で、ストップがついた投資家がもう一度立ち向かえるかどうか。おとなしくなれば、この水準が定着する可能性もある」との見方を示した。
米議会超党派委員会は21日、財政赤字削減策で合意できなかったと発表した。これを受け、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは米国の信用格付けを分析する上で「参考にはなるが、決定的な要因にはならない」との認識を示したほか、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も「合意できなかったことは、われわれが8月5日に米国の格付けを『AA+』に引き下げた措置に沿ったものだ」と指摘、格付けに影響を与えるものではないとの考えを示した。
一方、フィッチは11月末までに米ソブリン格付けの見直し作業を完了する見通しであることを明らかにした上で、協議決裂は財政赤字削減策や公的財政を持続可能な軌道に乗せることについて政治的なコンセンサスを得ることの難しさを鮮明にした、と指摘した。
財政赤字削減協議をめぐっては、市場はすでに協議の決裂を織り込んでいたことから、相場に大きな動きはみられなかったが、JPモルガン・チェース銀行チーフFXストラテジスト、棚瀬順哉氏は「給与減税や緊急失業保険給付の延長など、昨年12月に発表された景気刺激策のうち今年12月に期限を迎えるものが延長されないリスクが高まっている。これらが延長されないのであれば、来年初にかけて米経済の下押し圧力を高めることになるだろう」と指摘。その上で「合意失敗は、短期的には格付け会社のアクションがなければ市場への影響は限定的だろうが、中期的には間接的に景気下振れを通じて株価の下押し要因となり、『リスクオフ』の流れを強める可能性もある」との見方を示した。
ユーロ/ドルは一時1.35ドルを回復したものの、上値の重さが目立つ展開となった。市場参加者によると、1.34ドル半ば以下の水準は買い戻しなどのビッドが優勢で、これが相場を下支えしているが、やや長い目で見れば欧州中央銀行(ECB)の追加緩和期待などもあり、「もう一段の下落は避けられない」(外銀)との声が出ていた。
(ロイターニュース 志田義寧)