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海外勢に日本株見送りの声、安倍政権弱体化も拍車

 [東京 7日 ロイター] 7日の東京市場は、薄商いの中で株がやや売られる展開が続いている。今夜の8月米雇用統計の発表を前に様子見の参加者が多くなっているが、海外勢の中に「日本株見送り」の声が高まっており、最近の安倍晋三内閣弱体化も海外勢が日本株を敬遠する要因になっているという。

 9月7日、海外勢に日本株見送りの声が高まる。安倍政権弱体化も拍車。写真左下は新閣僚の記念撮影での安倍首相(2007年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 <海外勢から小口のバスケット売り>

 7日の日経平均は、鉄鋼、海運など前日上昇したセクターに利益確定売りが先行し、軟調な展開となった。7日の米雇用統計を控えて積極的な売買が見送られる中、「海外勢から小口のバスケット売りが出て指数を押し下げた」(国内証券売買担当者)という。

 ただ、市場関係者の多くは下値の固さを感じ始めている。「商いのボリュームは徐々に増えているので、センチメントは改善しつつあるようだ。国内材料に乏しいので上値は追えないが、下がれば買いが入り下値は底堅い」(大和住銀投信投資顧問・株式運用部 チーフストラテジストの門司総一郎氏)との声が出ている。

 実際、前日の1万6000円割れ水準では「国内年金系資金が500億円規模の買いを入れたとみられている。これをみて短期筋が先物を買い戻した。1万6000円割れ水準では割安感が強いと考える投資家が多いようだ」(大手証券エクイティ部)という。

 「来週初から米証券会社の決算が始まる。決算が出てくれば次は当局の具体的な対応策に移る。不透明感は徐々に解消されるのではないか」(三菱UFJ証券・シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)との指摘もある。

 いちよし証券・投資情報部チーフストラテジストの高橋正信氏は「米利下げ期待が強いが、米当局とウォールストリートとの対話がかみあっていない感がある。米当局は金融機関や投資家を守るための利下げはしないとみており、利下げに確信は持てない。7日の米雇用統計は、いい数字が出るとむしろ米利下げ期待の後退につながるだろう。日本には独自に動ける材料がなく、米金融政策をにらんで米国依存の相場展開だ」とコメントしていた。

 <安倍内閣の弱体化も海外勢の日本株見送り要因に>

 国内勢には押し目買い意欲がみえるものの、海外勢の中には日本株見送りムードが強まっている。ある外資系証券の関係者は「サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の表面化を機に、ヘッジファンドを中心に海外勢は日本株売りに転じ、足元では静観している。日本株で有望なのは輸出関連だが、それらの銘柄は米国依存度が高く、米経済の不透明感が増して、買えなくなっている」と話す。

 国内証券のある関係者は「海外の投資家の中には、サブプライムローン問題に端を発した世界的な市場の混乱で、投資の優先順位をこれまで以上に明確にしてきており、日本株は新興国の株式よりも優先順位を下げられている」と指摘する。

 先の外資系証券の関係者は、安倍内閣の弱体化で日本の政局が不透明感を強めているこ

とも、日本株離れを加速させているという。農相交代では、安倍首相の指導力が発揮されなかったとの報道もあり「安倍内閣の総辞職が年内にもあるのではないか、との声が市場の一部で出ており、海外勢の買い意欲を弱めている」と述べている。

 財務省の対内証券投資によると、7月22日─28日の週から8月12日─18日の週まで4週連続で海外勢は売り越しになり、その間の売り越し額は計1兆7010億円に達している。その後、8月19日─25日、26日─9月1日と小幅の買い越しになったが合計で141億円に過ぎない。今年1月─7月の7カ月間に計7兆2808億円を買い越してきた海外勢の方針転換が、東京株式市場の需給を大幅に変えている。

<米雇用統計前に様子見続く円債市場>

 米雇用統計の発表を控え、円債市場は模様眺めムードが強まった。国債先物9月限は、最終売買を10日に控えており、期近売り/期先買いのロングロールからの売り圧力もあってか、朝方はやや軟調だった。

 ただ、現物超長期ゾーンがしっかりで推移。その後、中期ゾーンに波及して中期債利回りがやや低下したのを受け、国債先物は一時前日比10銭高の135円78銭まで買われた。前引けは7銭高の135円75銭。

 市場では「現物の超長期ゾーンに小口のニューマネーが入った」(外資系証券)、「円円スワップの5年ゾーンで欧州系の受けが出ていた」(邦銀)との声が出ていた。

 <米欧が積極的に資金供給、日銀は2000億円を吸収>

 短期金融市場は全般に落ち着いた動き。欧州中央銀行(ECB)利上げ見送りを受けて「日銀の9月利上げは事実上、難しくなった」(国内証券)として、短期金利に低下バイアスがかかった。

 無担保コール翌日物の取引中心金利は0.48─0.49%と日銀誘導目標(0.50%)に対して弱含み。日銀は朝方の金融調節で手形売り出しオペを通告して2000億円を即日吸収。「準備預金残高が残り所要積立額を上回る状況が続き、資金余剰感が浮上しているが、吸収額が余剰感を解消するほどの規模でなかった」(国内金融機関)として、オペの前後で取引水準に大きな変化が見られなかった。

 6日の海外市場では、ECB、米連邦準備理事会(FRB)とも積極的な資金供給姿勢を示した。「欧米当局は資金供給を行っているが、日本は流動性への懸念が小さい。むしろ、日銀の早期利上げ観測の後退で、金融機関から資金が出やすくなっている」(邦銀)として、資金余剰感を強めている。

 ユーロ円3カ月金利先物市場は小動き。中心限月2008年3月限は前日清算値を挟んだ99.120─99.130で推移。「相場に明確な方向感が出にくいが、日銀利上げ時期の後ズレ観測とともに、ジワジワと買われやすい」(国内証券)という。

 <ドルよりユーロに安定感>

 外為市場では、サブプライム問題の影響が雇用情勢にも波及しているかどうかという観点で、米雇用統計が久々に注目されている。前日米株市場が堅調だったことを受け、朝方はやや主要通貨買い/円売りが先行した。

 ただ、その後は日経平均株価がさえないため、逆に主要通貨売り/円買いとなるなど、方向感をつかみにくい値動きが続いた。

 一方、ECBが利上げ再開の可能性を示したことで「不透明感のあるドルよりも、ユーロに安定感がある」(国内金融機関)という。

 今後の展開では「来週の谷間を挟んで再来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)、日

銀金融政策決定会合となる。日銀は(ECBの金利据え置きで)利上げできなくなった。FOMCは利下げ期待が高まっている。予想通り利下げしたら、素直にドル売りとなるかもしれないが、ドル売りを好感して米株が上昇すれば、ドル売りは進まないのではないか」(地銀)との見方が出ていた。

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