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米シティが一転してドル高/株高材料に、アブダビの資本参加を好感

 [東京 27日 ロイター] 27日の東京市場は午後に入り地合いが一変、ドル高/株高/債券安になった。日本時間の正午前に明らかになったアブダビ投資庁の米シティグループC.Nへの資本参加が材料視された。

 11月27日、東京市場は午後に入って地合いが一変、ドル高/株高/債券安になった。写真は東京証券取引所で昨年4月に撮影(2007年 ロイター/Yuriko Nakao)

 前日のNY市場で同社株は、モーゲージ関連の損失や追加人員削減などをめぐる懸念から5年ぶりに30ドルを割り込み、市場全体にリスク回避姿勢を強めさせていただけに東京市場ではいったん反対のポジションをとる動きが強まった。

 <米株先物が大幅上昇、ドル買い戻しに>

 シティのニュースにまず反応したのがGLOBEX(米時間外金融先物取引)の米株先物だ。一時1万2900ドル程度まで反発、26日の終値に比べて160ドル超の上昇となった。金融機関の信用リスクに敏感な地合いだけに真っ先に買い戻しが入った、という。

 これを受けて為替市場ではドル/円が発表前の107.40円付近から108.82円まで1円超、上昇した。アブダビ投資庁のシティグループへの資本参加で、サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題を背景に広がっていた欧米金融機関の巨額損失計上と信用リスク問題が改善に向かう可能性が出てきた、と受け止められた。

 ドルは日本時間の早朝、26日の米国株安などを受けて一時107.22円まで下落。2005年6月以来、2年半ぶりの円高水準を更新していたが、シティのニュースで地合いが急変した。

 このほか、円は他通貨に対しても売られ、ユーロ/円は159円半ばから161円後半、英ポンド/円は222円前半から225円前半に急上昇した。最近の外為市場では、世界的な株価上昇は投資家がリスク姿勢を強め、円キャリートレードが活発化するとの見方から、円売り手掛かりとされている。

 ただ、このまま一本調子でドル買いの動きが続くとの見方は少ない。みずほ総研・経済調査部シニアエコノミストの吉田健一郎氏は「ニュースを受けて急激な円売りが進んでいるが、この発表が金融市場の懸念を払しょくできるかどうかの判断はできない」とし、そのうえで「サブプライムローン問題が背景にあり、まだ金融機関の追加損失などの思惑がくすぶっている。大局的なドル売りの流れに変わりはない」と述べている。

 <株は乱高下>

 株式市場は振れの大きな展開。朝方300円を超す下げとなっていた日経平均は、後場急速に切り返し、一時は1万5300円台まで上昇した。シティのニュースで先物に買い戻しが入り踏み上げ的な動きになった。

 「信用不安が後退したほか、新しい資金が入ってくるというポジティブ・サプライズで一気に上昇した」(大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部部長 高橋和宏氏)という。

 ただ、その後、上げが一服すると、逆に戻り売りに押された。「先物の踏み上げで日経平均は急速に上昇に転じたが、この動きが一巡したことでやや落ち着いた動きになっている。ただ、乱高下が続いていることで株価の居所がわからなくなっており、この水準で落ち着くかどうかはわからない。売りにくくなっていることは確かだ」(準大手証券)との声が出ていた。

 三菱UFJ証券の投資情報部長、藤戸則弘氏は「シティグループには、サウジアラビアのアルワリード王子がかなり出資している。シティの信用力を上げる動きとして市場はいったん評価しているようだ。ただ(アブダビ投資庁の)出資額の75億ドルは決して大きい額ではない。現在の東京株式市場は、ニュースに驚いたショート筋の買い戻しで切り返してきているが、シティが一息つけるか、それとも不十分とみるか、本当の評価は今晩の米国株式市場にかかっている」と話している。

 <質への逃避の巻き戻し>

 株高を受けて円債は午後に急落。10年最長期国債利回り(長期金利)は一時前日比2ベーシス・ポイント(bp)高い1.500%と11月15日以来の水準に上昇。国債先物中心限月12月限は22銭安の136円57銭と11月14日以来の水準を付けた。海外勢中心に先物に売りが持ち込まれた。「朝方に買っていた海外勢がいったん投げさせられた」(邦銀)という。

 「シティへの資本注入や前日に伝えられた中国の政府系ファンドによる日本株投資の検討など、株価が支えられそうだとの思惑から、先物を中心に売られた。円債はファンダメンタルズや日銀の金融政策を無視して需給主体で買われ過ぎてきたため、その修正が出た」(都銀)との指摘もあった。

 ただその後、株価の上昇が失速するにつれ、買い戻しも入っている。

 リーマン・ブラザーズ証券、チーフJGBストラテジストの山下周氏は「根源である米国のクレジットがうまく回り始めるのかどうか、今回の米シティへの出資といったような形で解決の糸口が見えれば、米国のクレジット市場の方向性が変わるかもしれない、という期待感が高まる。結局、誰が最終的に金融システムを救うか、ということがポイントなので、民間なり海外なりの資金で救済される、ということになれば(クレジット市場の混乱収束という点で)大きなポジティブ材料」という。

 今後の円債相場については「金融セクターに対する見方次第だ。今の段階では明確な見通しは持てないが、徐々にクレジット懸念が消滅していけば金利が大きく上昇に転じる可能性があるが、そうでなければこの辺の金利水準が続くことになる」とみている。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者)

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