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一段の株安・円高観測強まる、サブプライムあく抜け期待は空振り

 [東京 16日 ロイター] 16日の東京市場は株安・円高・債券高。日経平均株価が一時370円超下げた一方、長期金利が節目の1.4%を割り込んだ。サブプライムローン関連商品の損失拡大懸念が一服するかどうか注目された米シティグループC.Nの決算は、問題の根深さをあらためて印象付ける結果になり、あく抜け感は出なかった。

 1月16日、東京市場はサブプライムあく抜け期待は空振りとなり、株安・円高・債券高に。写真の株価ボードは昨年3月に都内で撮影(2008年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

 米経済を下支えていた個人消費にまで減速感が強まっていることから、市場の関心はドル安/株安/債券高がどこまで深くなるかに集まっている。米連邦準備理事会(FRB)が緊急会議を開催しているとのうわさが流れるなど緊迫した状況が続いている。

 <政策の催促相場>

 株式市場では日経平均が続落、下値を切り下げる地合いが続いている。サブプライムローン問題に絡む米金融機関の損失拡大や、1ドル106円台に進んだ円高が嫌気された。「米インテルINTC.Oの決算が予想を下回ったこともあり、今晩の米国株式への警戒感もある。日本株はGLOBEX(米時間外金融先物取引)をにらみ今晩の米株市場を先取りする動きとなっている」(東海東京調査センター、シニア・マーケットアナリストの矢野正義氏)との声が出ている。

 シティの決算に関しては「損失の引当額が少なく、まだ膨らむ可能性がある」(準大手証券)との声が市場のムードを代弁している。

 サブプライムローン問題を発端とする世界的な信用収縮リスクや実体経済の悪化懸念に加え、国内では円高による企業業績の下方修正懸念など八方ふさがりの状態だが、ちばぎんアセットマネジメント専務の安藤富士男氏は、「景気や金融市場に無頓着な政府の無策を嫌気した売りも多い」とみている。「政府に危機感がないため、配当利回り、PERは歴史的な水準に到達しているが、買いが入らない。海外ファンド勢は1月に契約改定の更新を行い2月から新年度の投資を開始する。早期に思い切った対策を打てれば、海外勢の新年度資金が流入する可能性がある。通常国会での対策発動に加え、日銀は協調利下げも含めた対応を検討すべきだろう」と話す。

 <年金など長期資金の買い入る>

 売り一巡後に日経平均が下げ幅を縮小させる場面がみられた際には、「現物の主要銘柄に国内年金とみられる買いが入った」(大手証券エクイティ部)との観測が出た。長期運用資金の一部は1万3000円台を買いの好機とみている。ファンドクリエーションインベストメントの木下晃伸氏は「ここからは株式に積極的なスタンスで臨む。これまで組み入れていたディフェンシブ性の強い銘柄を減らし、銀行株のウエートを上げるなど攻撃的なポートフォリオに組み替えている。米金融機関の損失の大きさや増資なども、日本の不良債権問題を踏まえれば意外感はない」と強気姿勢だ。

 日本株を運用するさわかみ投信の澤上篤人社長は15日、ロイターとのインタビューで「世界の人口増に伴う物不足を解消するため、世界で供給体制の増強投資が加速する見通し。資源、代替エネルギー、新素材の開発などで貢献できる日本企業は多く、今は日本株を目いっぱい買っている」と述べた。日本株を底値圏とみた長期運用資金に動きが出てきたことは注目に値する。

 <下値メドは1万3000円との声>

 ただ、目先的には下値を模索する展開が続く、との見方が優勢だ。第一生命経済研究所、主席エコノミストの嶌峰義清氏は、「これまでのサブプライムローン問題やそれに関係する住宅市場、金融市場悪化への懸念ではなく、実体経済の悪化、特に米国のリセッション入りを織り込み始めた」と話しており、当面の下値のメドを1万3000円とみている。

 三井住友銀行、市場営業推進部チーフストラテジストの宇野大介氏は「海外投資家は2003年以降、日本株を買い越してきたこともあり、いったんウエートを落としている状態。日経平均が1万4000円を割りこみ、再投資のメドとなる水準を見極めづらくなっているのではないか」と話す。

 みずほ証券、チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「年初に予想したレンジ下限の1万4000円を既に下回っており、下値余地を探る見通し。円高が一段と進行する場合には1万3000円という次の節目が視野に入ってくる」と述べている。

 <資金流入続く債券>

 円債市場では買いが先行、10年最長期国債利回り(長期金利)は1.4%割れ後も買い進まれ、一時2005年9月以来2年4カ月ぶりとなる1.390%をつけた。

 外資系証券の債券担当者は相場の地合いについて「前日は5営業ぶりに反落したが、むしろ底堅いというイメージも強くなり、目先の調整は一段落したような雰囲気だ」と語る。そのうえで「国内市場は米国を追いかけているが、日銀が利下げに転じるという点について憶測は広がっているものの、短期金利の低下ほど市場の見方は固まっていない。ただ、日銀展望リポートの中間評価で景気見通しが下方修正されれば利下げの思惑は一段と高まるだろう」と話している。

 短期市場では3カ月物の政府短期証券(FB)と1年物の割引短期国債(TB)の利回りが逆転した。財務省がこの日実施した3カ月物FB入札では最高落札利回りが0.5683%となり、15日に入札された1年物TBの0.5570%を上回った。落札利回りの逆転には3カ月物FBの発行量が多くなっていることに加えて「米景気後退の期間が長引くほど日本の景気に悪影響を与え、日銀が利下げに追い込まれる可能性を織り込んでいる」(国内金融機関)との声が出ている。 

 <ドル/円は105円意識>

 為替市場ではドル売り地合いが日本時間でも続いている。ドル/円は午後に入り106.11円まで下落。午前の安値を下抜け、2年半ぶり円高水準を更新した。日経平均をはじめアジア株式市場が軒並み下げているため、市場は、ドル売り材料に敏感になっており、FRBが緊急会議を行っているとのうわさが流れたことも、ドル相場を下押した。

 三菱UFJ信託、資金為替部グループマネージャーの清水昭男氏は「米景気への悲観的な見方を手掛かりとするドル安と、リスク回避の円買いが同時に発生する状況が続いている。円に魅力があって買われているわけではないため、株安に歯止めがかかれば円高も収まるだろうが、現在のところ、その見通しが立たない」と述べ、目先は105円を意識しこれを割り込めば102―103円が見えてくる、と話している。

 みずほコーポレート銀行、国際為替部参事役の竪智司氏は「2005年1月の101.67円のボトムから立ち上がった上昇相場で、104円が最初の足場となったので、その水準をもう一度試しに行かなければ相場の反転はないと思う。少なくとも105円台は試したいところだ」という。6月末までの期間では103―108円のレンジを予想している。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者)

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