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米景気後退長引けば、45兆ドル規模のCDS市場が危機に=草野GF

 2月4日、草野グローバルフロンティア代表取締役の草野氏は、2日のセミナーで、米国景気の焦点はリセッション入りするかどうかではなく、リセッション入りを前提にその深さと長さに移っており、長引くようだと新たに企業の倒産リスクを取引するCDS市場の危機を招くと警鐘を鳴らした。写真は昨年8月、ニューヨーク証券取引所近くで撮影(2008年 ロイター/Lucas Jackson)

 [東京 4日 ロイター] 草野グローバルフロンティア代表取締役の草野豊己氏は、2日のセミナーで、米国景気の焦点はリセッション(景気後退)入りするかどうかではなく、リセッション入りを前提にその深さと長さに移っており、長引くようだと新たに企業の倒産リスクを取引するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場の危機を招くと警鐘を鳴らした。

 45兆ドルといわれるCDS市場が大きく揺らぐと、金融危機につながりかねないと懸念している。

 草野氏によれば、CDS市場の規模は2007年6月末で約45兆ドルと、米国GDPの約3倍。3年間で10倍に急拡大している。IT(情報技術)バブル崩壊で高まったデフォルト率がその後低下したことに目をつけたヘッジファンドが、運用資産の拡大とともに倒産リスクを保証するサイドで市場に参加し始めたためで、「保証料が倒産リスクと見合わないほどに低下する信用バブルになった」という。

 しかし、ここにきて景気後退懸念から倒産リスクの指標であるCDS指数が急上昇しており、ヘッジファンドの支払い能力への懸念が出てきているという。デフォルト率の平均的な水準は1─1.25%。この水準でも、ヘッジファンドなど保証サイド(売り手)が破たんなどで支払えなかった場合、金融機関などの買い手には2500億ドル程度の損失が発生するとの試算があるという。しかし「ITバブル前後につけたデフォルト率のピークは4%。単純計算すると、1兆ドルの損が出てもおかしくない。金融崩壊の可能性すらある」と草野氏は懸念する。

 サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題は、金融機関の巨額な損失処理が進み、関連SIV(投資ビークル)の処理に取り掛かろうとしている。今後は、CDO(債務担保証券)などに投資していたヘッジファンドの処理が待っており、ここまではスケジュールがたっている。しかし、サブプライム問題が誘発する景気後退が長引けば、企業倒産懸念を織り込みに行く新たなCDS危機が発生しかねないという。

 米連邦準備理事会(FRB)は、1月22日と1月30日に合わせて1.25%の利下げを実施した。「FRBの危機感は最高潮。これは、景気後退が長引くことで新たにCDS危機の引き金を引きかねないことを意識しているからだろう。この危機を避けるためには、FRBは何でもやる。財務当局にしても、金融機関の損失処理を可能な限り急がせ、場合によっては公的資金注入もあり得る」と草野氏はみている。

 ただ、日本株については「下落率はすでに8─9合目まで達している。ここからは国際優良株を中心に買いスタンスで臨んでいい」と指摘。日本株は海外株式に先行して売られており、ヘッジファンドは2007年に日本市場から70億ドルの資金を引き揚げた。2005年後半からの日本株急騰以前に買っていた日本株を熟知する海外勢は、すでに売り切っているという。今売られているのは、2007年にヘッジファンドが170億ドルの資金を注ぎこんだアジア市場で、今後はこの資金が日本株に回ってくる可能性もあるとみている。

 「先物を手掛けるCTA(商品取引顧問業者)の動きに即して考えれば、日経平均でみて1月22日の安値(1万2572円)を割れたら、1万2000円割れを試すかもしれない。2月半ばには、ヘッジファンドがまた解約売りを持ち込む可能性もあるが、いずれにしろ、ここからの下げ余地は限定的だ」(草野氏)とみている。

 (ロイター日本語ニュース 松平陽子記者)

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