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決算意識してヘッジファンドが攻勢、信用不安材料に株式カラ売り

 [東京 6日 ロイター] 6日の東京市場は大幅な株安・債券高。米国の景気後退や金融不安が再び材料視されているが、2月末に決算を迎える一部のヘッジファンドが利益を捻出するため、株式のカラ売りを含めて、さまざまなマーケットで未確定な情報を基に活発に動いていることが値動きを増幅させている。

 2月6日、東京市場は大幅な株安・債券高。写真は2005年10月に東京都内で撮影した株価ボード(2008年 ロイター/Toru Hanai)

 格付けに対する投資家の信用が回復しない中ではわずかなきしみが短期筋に格好の売買材料を提供している、といえる。9日の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では具体的な金融市場安定化策は打ち出されない、との見方がコンセンサスになりつつあることも影響している。

 <売り仕掛けの材料そろう>

 株式市場では日経平均が600円を超す急落となった。米国株の大幅安を嫌気して幅広い銘柄に売りが先行。東証1部の値下がり銘柄は1650と全面安となった。値上がりはわずか60銘柄。1月の米ISM非製造業景気指数の悪化で米国経済のリセッション懸念が高まったほか、フィッチが米金融保証会社MBIAMBI.Nを格下げする可能性があると発表したことで、米金融保証会社(モノライン)に対する不安心理も再燃した。

 朝方から売り一色となった。朝方の外資系証券の注文動向は、3760万株の売り越しとなり、2007年11月20日(5020万株売り越し)以来の大幅売り越しだった。

「米株安で投資家のリスク許容度が低下した面もあるが、業績不振銘柄を中心にヘッジファンド等のカラ売り注文も多い」(準大手証券エクイティ部)という。

 市場からは「週末にオプションSQを控えていることもあり、売り仕掛けの材料が揃(そろ)っている状況だ。金融緩和や景気対策の効果が出るには時間がかかるため、先行して悪化する経済指標は売り材料にされやすい」(SMBCフレンド証券株式ストラテジストの中西文行氏)との声が出ている。

 <格付け不信拭えず>

 市場では、格付けに対して依然、不透明感を指摘する声が聞かれる。フィッチは5日、債務担保証券(CDO)へのエクスポージャーによる損失の見通しを修正したことを理由に、米MBIAの金融保証部門が持つ最上級格付け「トリプルA」を引き下げる可能性があることを示した。

 証券化商品に詳しいある外資系証券の幹部は「数週間前に据え置きの可能性を示唆しており、その後、延滞率の上昇などの要因がないのに引き下げの可能性を示した。格付けに対する投資家のマインドがさらに悪化した」と話す。米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手への住宅融資)問題による金融セクターの損失総額がみえないだけに疑心暗鬼の状況が続いている。

 <アジア株にも伝播>

 上海・深セン株式市場は6日から旧正月で休場となっているが、香港市場ではハンセン指数が5%を超す大幅安だ。モノラインの格下げによる金融市場の混乱や、米国のリセッションに対する懸念はアジア市場にも広がっている。

 野村証券チーフストラテジストの岩澤誠一郎氏は、「事態の本質がクレジット・クランチにあるということを早く認識する必要がある。財政政策や金融政策では問題の解決に足りないことがわかり始めてきた」という。岩澤氏は、「問題の終息には証券化商品の価格下落が止まる必要がある。資本不足の金融機関への公的資金注入や不良化した証券化商品を買い取る機関の設立が求められる」と指摘している。

 <為替市場でも動き活発化>

 世界的に株安を増幅させているヘッジファンドなどの短期筋は為替市場でも活発に動いている。日本時間の5日夕方からユーロや英ポンド、スイスフランなどが一気に急落、ドルが大きく買い戻された。複数の市場筋によると、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測や一部欧州系金融機関の損失計上のうわさ、スイス系金融機関のドル調達難のうわさなどが要因として指摘されている。

 ただある外銀筋は2月末の決算に合わせる形で「利益を捻出したいヘッジファンドも多い。うわさに翻弄されやすいマーケットになっている」と話す。

 日中の東京市場でも、海外ファンドなどの短期筋が一段の円買いを誘発するストップロスを狙ってドル売りに動き、ドル/円は一時106.36円まで下落。前日海外市場の高値107.72円から1円を超える円高となった。また、ドル/円の下げを受けて、ユーロ/円も155.72円まで下げ、前日東京市場の高値から3円近い円高となった。ユーロ/ドルも前日海外の1.48ドル前半から1.46ドル前半まで大きく下落した。

 信用不安を材料に株価が再度、動き出しただけに、為替市場でも「9日の東京G7を控えて、うわさや材料探しの相場になりやすい」(都銀)との声が聞かれた。

 G7に関して、ある外資系証券筋は「一部でG7の共同声明に金融機関の資本増強の必要性が盛り込まれる、との報道があったが、仮にそうなったとしても、資本増強は民間ベースの話。G7が何かできるわけではない」といい、決め手に欠く、とみる。

 <海外勢が円債買い増し>

 株安/円高を受けて、国債市場は急反発。株式・商品市場からの資金の受け皿として意識された。売り方の買い戻しだけではなく、海外勢から買い増しの動きも観測された。

 大和総研・債券ストラテジストの奥原健夫氏は「商品市況では原油や金、銅を中心に下落。投資資金をより安全な資産である債券にシフトさせる「質への逃避」の動きが加速しやすい。円債の10年最長期国債利回り(長期金利)は1月22日と23日に付けた1.310%を下回り、1.2%台に突入する可能性が高まった」と話す。

 三井住友銀行・市場営業推進部チーフ・ストラテジストの宇野大介氏は「足元の相場は、サブプライムローン問題、クレジット問題を悲観的にみるか楽観的にみるかによって左右されている。しかし、米国は減税や利下げなどをしていても、この大きな問題への直接的な処方せんはなく、例えば年内に解決するようなことは考えられない」とし、結局、立ち返るところは債券を買うことという流れは不変、という。長期金利は3月末までには1.30─1.35%まで低下する、と予想する。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者)

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