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次のベアー探しでドル・株式ともに先安観ぬぐえず

 [東京 18日 ロイター] 18日の東京市場は小幅ながら株高。米金融問題によるドル急落が前日の海外市場で一服したため、買い戻しが入った。ただ、日経平均が1万2000円に近づくと戻り売りが厚くなるなど、ベアー・スターンズBSC.Nショックの影響は続いており、ドル/株式ともに先安観測は根強い。

 3月18日、東京市場ではベアー・スターンズ・ショックの影響が続いており、ドル/株式ともに先安観測は根強い。写真は1月に都内の証券会社前で撮影(2008年 ロイター/Issei Kato)

 日銀総裁人事をめぐる政府・与党と民主党の駆け引きが長期化し、総裁空席の可能性が高まっていることも株売り材料、との声が聞かれた。一方、円債市場は、前日に急騰を演じた債券先物には売りがかさんでいるものの、超長期債はしっかりで推移。マーケットの混乱を受けた調整局面が続いている。

 <株価1万2000円遠く> 

 株式市場では、急激なドル安/円高が一服したことや米国株の落ち着きなどを受けて、日経平均が反発。もっとも、今晩の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、「投機筋によるドル売り、株売りの動きが止まっているだけ」(外資系証券)との冷めた見方もあり、前日割り込んだ1万2000円を回復できずに伸び悩んでいる。

 新光証券エクイティ情報部次長の三浦豊氏は「3月は年度末ということもあり、買い手不在の中で株価が大きく下落したが、4月以降も要注意だとみている。米国の商業銀行の決算が本格化するほか、国内企業の来期の見通しなどが出始める。為替抵抗力がついているとは言われるものの、円高を受けてかなり慎重な見通しとなることが予想される」と厳しい見方をしている。

 邦銀関係者は「ベアー・ショックは続いている。16日に米連邦準備理事会(FRB)が発表した新たな資金供給策は証券や投資銀行を視野に入れているとみられ、緊張感は高まっている」と話す。

 <政策の浸透効果> 

 一方、ベアー・スターンズに端を発した金融不安や米リセッション(景気後退)懸念は何も変わっていないが、ユナイテッド投信投資顧問のシニアファンドマネージャー、高塚孝一氏は「米国は金融機関の経営行き詰まりがあったとしても、金融システムを守るために狭義の破たんはさせないということを、ベアーの件で見せた。後手に回っている感はあるが、今後進む方向を明確に示した点は評価されるべきだろう」とみている。高塚氏は「日本株は米国株に比べて先んじて下落してきた。最終的に米国経済がシュリンク(縮小)し、米国株が下落したとしても付き合う必要はない」と話している。

 新生銀行のアセットマネージメント部部長、作本覚氏は「市場で財務への懸念が強かったベアーの身売りが決まり、ドル安/円高も一服していることで、目先的にはやや悪材料の一巡感が出ている。17日は先物の商いがヘッジ売りなどで膨らんでおり、ミニセリングクライマックスだった可能性もある」との見方を示している。さらに「サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の解決はまだ先で、今後は米金融機関に対する公的資金の注入なり、欧米の協調利下げなりの対応が必要になるかも知れない。参加者はまだまだ及び腰であることも確かだが、FOMCで1%程度の利下げが実施され、今週の米金融機関の決算発表を無事乗り切れれば、市場はいったん落ち着く」とみている。

 <日本政治の無力さ>

 サブプライム問題の震源地である米国のダウ平均は、2007年の高値から直近安値まで18%下落。これに対して日経平均は2007年の高値から36%下落と2倍の下落率を記録している。震源地米国の下落率を上回る株安は何を意味するのか。ある準大手証券幹部は「円高による外需の落ち込みを織り込んでいる。外需の落ち込みを内需でカバーできる独自政策が打ち出されれば問題ないが、政治的なリーダーシップがまったく期待できない。政策余地を残している米国との差が株価に表れている」と指摘する。市場からは「海外勢は次の日銀総裁が誰になるかという話ではなく、決まらないこと自体を論外とみなしている」(大手証券エクイティ部)との声も出ている。

 午後になり、株価が急速に伸び悩んだが、市場では、香港株などアジア株が下落し、為替もややドル安/円高気味になっていることだけではなく、「(政府提案の)田波日銀総裁候補を民主党が受け入れず、総裁人事をめぐる混乱が続く可能性がある」(かざか証券市場調査部長、田部井美彦氏)ことが嫌気され、先物売りが強まった、との声も出ていた。

 大和住銀投信投資顧問のチーフストラテジスト、門司総一郎氏は「民主党がこの提案に再び不同意となると、株式市場にはとってはマイナスとなり、売り圧力となるかもしれない。候補の田波氏の資質に対する評価はまた別次元の話で、総裁人事がまとまらない失態への失望感が出る恐れもある」とみている。

 <市場内の調整続く円債>

 国債先物は大幅反落。前日の相場急上昇の後、高値警戒感がくすぶる中で日経平均株価が上昇し、先物は朝方から利益確定の売りが先行。下値では買い戻しが入り値を戻す場面もあったが、現物市場で中期ゾーンなどの上値が重くなったこともあり、一段と売られる展開となった。

 現物市場は荒い値動き。20年債入札を控えていたこともあり超長期ゾーンが軟調な展開で始まったが、生保や年金とみられる押し目買いが確認されたことで徐々に強含みとなり、利回りには一転、低下圧力がかかった。一方で中期ゾーンが売られ、5年債利回りが6.0bp高い0.785%に上昇、前日の行き過ぎた相場を反対に巻き戻す動きとなった。長期金利は6bp高い1.325%に上昇した。

 ある国内証券筋は「国債、スワップともに海外勢のポジションの整理が主体となっており、このところの債券市場の動きに国内の投資家はまったくついていけていない。もっとも、金融機関の決算も含め米国市場の動向が不透明なままなので、金利は低下方向だと見込んでも、どの程度の(金利低下の)織り込みをすべきかまだ見極めの段階。3月決算期末を控えて動きづらい時期ではあるが、期末を越えたとしても不安定な相場は続きそうだ」と話す。

 この日の20年債入札は不調だった。20年、30年債の相場自体はしっかりだが、これまでの海外勢の換金売りで売られ過ぎた反動との見方が多く、リスクを積極的にとっていく動きにはなっていないという。

 ある外資系証券筋によると、「超長期ゾーンは、ファンド勢の投げ売りで、ファンダメンタルズと連動しない形で金利が急騰してしまった。需給バランスが不安定なままだ」という。

 大和証券SMBCのシニアJGBストラテジスト、小野木啓子氏は「リスク許容度が低下している海外勢は、なかなか買い手に回りにくい。国内勢も、3月決算前に積極的な買いは期待しにくい。利回りは決して悪くはないが、買い手が限られた印象だ。マーケットがこのまま沈静化していくかどうか、判断はできない。ここ2週間程度は荒っぽい値動きになるのではないか」と語った。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:山川薫)

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