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急成長を遂げるインド、資源豊富なアフリカと接近

 [カンパラ 3日 ロイター] 急速な経済成長を背景に、エネルギー資源を確保したいインドのアフリカ進出が本格化してきた。ボツワナの砂漠でダイヤモンドを探し回り、スーダンと石油契約を締結し、不安定な治安が続くコンゴ民主共和国に平和維持部隊を送るなど、資源豊富なアフリカでの影響力を強めるため、中国に追いつけ追い越せの積極策を展開している。

 4月3日、急速な経済成長を背景に、エネルギー資源を確保したいインドのアフリカ進出が本格化している。写真は昨年10月、南アフリカで会談したインドのシン首相(左)と南アのムベキ大統領(2008年 ロイター)

 今月8―9日には、インド・アフリカ首脳会談が初めてインドで開催される。

 アフリカ諸国は、インドを公共・民間の協力関係を通じて開発を後押ししてくれる重要パートナーととらえており、専門家からは、アフリカと長い通商関係を持つインドは少なくとも文化面で中国よりも有利な立場にあるとの声も聞かれる。

 インドとアフリカ大陸との関係の始まりは、インド人が旧英国植民地に労働力として移住し、アフリカ東部および南部に定住した数世代前にさかのぼる。現在でも西のセネガルから東のカンパラ(ウガンダ)、南はヨハネスブルクまで、サリを売る店やサモサを出す飲食店があり、インドの影響はアフリカ各地で容易に見て取れる。

 歴史的なつながりも強い。南アフリカでは、マハトマ・カンジーなどの影響を受け、大勢のインド人がアパルトヘイト(人種隔離)打倒を目指す反政府運動で黒人の側に立って戦った。

 世界銀行でアフリカ関連の経済アドバイザーを務めるハリー・G・ブロードマン氏は、ロイターの取材に対し「社会経済面の骨組みに浸透してきたインドは、短・中期的に中国に比べ、より持続性のある影響力を持つだろう」と指摘。「中国が抱えるような言葉や文化の壁はない」と語った。

 ただ、積年の不満が爆発寸前という状況の地域もあり、インドにとって全く懸念材料がないわけではない。ウガンダでは昨年、インド企業が砂糖園をつくるため森林を入手しようとした計画をめぐる穏やかな抗議デモが、カンパラのインド人コミュニティーに対する暴力行為に発展し、死者を出す騒ぎとなった例もある。

 <カネはどこに向かっているのか>

 インドで市場改革が始まった1991年、対アフリカ貿易額は9億6700万ドルだった。これが2006/07年度には200億ドルに急拡大した。背景には、年8%超のペースで拡大を続けるインド経済がある。

 貿易拡大の大部分は、民間もしくは官民合同の企業が担っており、事業規模はさまざま、事業領域も石油をはじめ鉱業から製造業、園芸までと幅広い。

 インドは原油需要の7割を輸入に頼っているが、国際エネルギー機関(IEA)によると、2030年までにはエネルギー需要が2倍以上に膨れ上がる見通し。IEAはまた、2025年までにインドが原油の純輸入量で日本を追い抜き、米国と中国に次ぐ世界3位になるとも予想している。

 インドにとってアフリカ最大の貿易相手国はナイジェリアで、石油輸入の11%を占める。2国間貿易は推定79億ドル規模。

 ただ、2007年に6%近い経済成長率を達成したアフリカが提供できるのは、原油だけではない。タタ・モーターズTAMO.BOが10月に発売予定の2500ドルの超低価格車「ナノ」など、インド製品の有望市場となる可能性も秘めている。

 西アフリカでは、インド系企業がコートジボワールでマンガンと鉄鉱石の開発を計画しているほか、ニジェールでも金とウランを探査中。

 2―3年内に大規模な石油生産の開始を目指しているガーナは、マハマ副大統領が3月中旬、インドからの投資を呼び込もうと貿易使節団を率いてインドを訪れた。インドのメディアは、同副大統領が「われわれはインドの大いなる力を認識している。インドとわが国にはすばらしいつながりある」と語ったと報じている。

 <中国との張り合い>

 インドのシン首相は昨年10月、ナイジェリアと南アの訪問に際し「目標は貿易と投資の単なる量的な増加にとどまらない。アフリカ経済の競争力や技術力の質的な強化も目指す」と述べ、技術移転を含む多方面での協力を約束した。

 しかしなお、中国の国を挙げてのアフリカ進出の勢いは、インド産業界のリーダーの目にうらやましく映っているかもしれない。

 中国の対アフリカ貿易は、1999年にはインドに及んでいなかったが、現在では550億ドルに急増した。

 ただ、アフリカの天然資源を確保して世界経済のより大きなパイを取ろうという狙いは共通だとしても、インドは、アフリカ諸国の手本になるような独自のサクセスストーリーを作り上げることで、中国とは一線を画したいと考えている。

 エチオピア駐在のシン・インド大使は、ロイターの取材に「それが、インドとアフリカの関係が他国との関係とはっきり異なる部分の1つだ」とコメント。「われわれはわが国を、多元的で多文化的で民主主義的な位置付けへと発展させてきた。そのことが今日、多くのアフリカ諸国を引き付ける要素になっていると思う」と語った。

 インドはさらに、経済関係の強化によって、政治面での利益も期待している可能性がある。インドのメディアは、マハマ・ガーナ副大統領の「ガーナとアフリカは、インドの国連安全保障理事会(常任)理事国入りを支持する」とするコメントを伝えている。

 (ロイター日本語ニュース 原文執筆:Tim Cocks、翻訳:長江知加代)

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