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構造不振に陥るアミューズメント施設、業界再編へ進む可能性も

 水野 文也記者

 6月3日、アミューズメント施設の不振は構造的とみる関係者は少なくなく、市場では業界再編に進むとの見方も出てきた。写真は2006年10月に都内で撮影(2008年 ロイター/Toru Hanai)

 [東京 3日 ロイター] アミューズメント施設の不振が目立ち、関連企業の収益を押し下げる要因になっている。家庭用ゲーム機の好調やガソリン代高騰で客足の遠退いたことなどが重なっており、不振は構造的とみる関係者が少なくない。市場では業界再編に進むとの見方も出てきた。

 大手アミューズメント施設の既存店売上高は、前年比で2ケタ台の落ち込みとなるケースも少なくないなど、大半の企業が苦戦している。直近では5月27日にアリサカが会社更生法申請の手続きを開始、収益環境の厳しさを象徴する格好となった。

 アリサカの倒産は、複数年にわたる不適切な会計処理が行われたという事情もあるが、中期的な収益拡大に向け出店を加速させたことで有利子負債やリース残高が増加し、費用に見合う収益の確保が難しくなったことが大きな要因。同社は出店により収益を上げてさらに出店する──という拡大路線を取っていため、既存店の落ち込みからビジネスモデルが行き詰まったとみられている。アリサカの例は極端としても、業界の先行きに明るい材料は乏しく、短期的に回復へ向かうのは難しいとの見方が多い。

 ある業界関係者によると「アリサカは厳しいとの見方が広がっていたが、金融機関の業界全体に対する姿勢は(それまでは)あまり厳しくなかったため、この一件をきっかけに資金面が難しくなる企業が出てくることも考えられる」という。

 <家庭用ゲーム機の人気、ゲームセンターの打撃に>

 アミューズメント施設の不振について、みずほインベスターズ証券・アナリストの田村悦子氏は「業務用と逆相関にある家庭用ゲーム機が好調なほか、業務用ゲーム機にヒット商品が見当たらないなど複合的に要因が絡まっている」と指摘する。

 任天堂7974.OSの「Wii」や「DS」などの大ヒットが影響し、ゲームユーザーの足が施設から遠退く要因になっている。田村氏は「ゲームセンターでプレイしていた体感的なゲームで、家庭用ゲーム機が高度化し、ゲームセンターに行かなくても楽しめるようになったことが大きい」と話す。

 とりわけゲームユーザーの動向に大きな影響を与えたとされるのが、家庭用ゲーム機ソフト「モンスターハンター」シリーズの大ヒットだ。これはカプコン9697.Tが開発・販売するハンティングアクションゲームで、プレイステーション・ポータブル用の新作が3月に発売され、既に200万本以上の売り上げを記録している。このゲームは一般的にプレイする時間が長くなる傾向があるとされるだけに、ゲームユーザーの時間の割振りに影響を及ぼしているという。カプコンは現在は、「Wii」向けのソフトを開発している。

 アミューズメント施設を併設するカプコンの広報担当者は「(モンスターハンターは)ゲームセンターの客足を鈍らせるほどではない」と前置きした上で「モンスターハンターに限らず、家庭用ゲームの盛り上がりがアミューズメント施設伸び悩みの要因になっている」とコメントしていた。

 アミューズメント施設のライバルは家庭用ゲーム機だけではない。今後はユーザーの広がりが目立つ「1円パチンコ」へ客足のシフトが想定されている。1円パチンコは従来4円の貸し玉料を1円に下げ、射幸心を抑える一方で遊びやすくしたパチンコだ。

 三菱UFJ証券・シニアアナリストの村上宏俊氏によると「1円パチンコはメダルゲーム機に比べて、使うお金が少なくて済む上に、実質的に換金できるのが強み。最近、パチンコ業界にボトムアウト感が出ているが、1円パチンコの影響が出ている」と指摘する。

 <ガソリン高騰で節約ムードも>

 こうしたライバルとの競合に、ガソリン代の高騰が追い打ちをかけた。暫定税率の引き上げでガソリン代が5月に値上げとなってから、郊外型のシッピングセンターなど客足が遠退く現状だが、実際「ショッピングセンターにある店舗が多いため、ガソリン代の値上げの影響は出ているようだ」(カプコンの広報担当者)という。

 イオンファンタジー4343.Tの広報担当者も「5月に入ってからイオンモールなどガソリン代値上げが響いて落ちているようなので、アミューズメント施設も影響は避けられない」とコメントしていた。

 それでもイオンファンタジーは、業界が厳しい中にあって、前年並みの既存店売上高をキープしている。これは子供に大人気のカードゲーム機の比重が高いことが背景にある。業界関係者によると、一時的に落ち込んだカードゲーム機は昨年後半から盛り返してきたという。このように大ヒットするゲーム機の登場が、立ち直りのきっかけになるとの見方が少なくない。

 2日に5月のアミューズメント部門の既存店売上高が前年比4.9%減と公表したシチエ4724.Tの広報担当者は「人気機種が登場すれば、ゲームセンターが復活する可能性が高いとみている。遊びが多様化しているものの、業務用ゲーム機離れが起きているとは思えない」と指摘する。カプコンの広報担当者も「各社は業務用の新型機を開発しており、魅力的な機械が登場すればアミューズメント施設の変化も期待できるようになる」と語っていた。

 ただ、市場では「現状からすると家庭用ゲーム機がすぐに落ち込む可能性は小さそうだ」(みずほインベスターズ証券の田村氏)との声もあるなど、しばらく厳しい収益環境が続く可能性もある。そのため「中小は追い込まれて淘汰(とうた)されるところも出てきそうだ」(田村氏)、「厳しい環境が続く中で業界の勢力図が大きく変わるだろう。買収などの話も出やすい。業界再編が起きそうな状況だ」(三菱UFJ証券の村上氏)などの指摘も出ている。

(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

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