for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

ご飯周り製品が健闘、小麦高や「めざましごはん」など追い風

 [東京 26日 ロイター] 原料高や値上げに伴う売上数量減少で悩む食品業界の中で、ご飯周り製品の健闘が目立つ。小麦製品の価格上昇や政策面で「めざましごはん」キャンペーンなどから、米需要が拡大していることが追い風になっており、関連企業の収益にプラス材料となりそうだ。

 6月26日、値上げなどに伴う売上数量減少で悩む食品業界の中で、ご飯周り製品の健闘が目立つ。写真は南魚沼で昨年10月撮影(2008年 ロイター/Toru Hanai)

 総務省の家計調査によると、全国の2人以上の1世帯あたり品目別購入数量で、米は今年1月から前年を上回る状態が続いている。直近の公表値である4月は前年同月比で1.8%増。2003年4月との比較では12.8減となるなど、これまで年を追うごとに米の消費量が落ち込んでいたことから、米のご飯が見直された格好だ。

 その背景として、小麦製品の価格上昇から相対的に米の価格に値ごろ感から台頭、米に需要がシフトしている点が挙げられている。食品業界の中からは「各種統計から、食卓のメニュー頻度でパン食が落ちる一方でご飯食が伸びている。それとともにカレールウやレトルトカレー、チャーハンの素、どんぶり関連などの伸長が目立つ」(エスビー食品5.T>の広報担当者)などの声が出ていた。ハウス食品2810でもレトルトカレーの数量が足元で前年比2割の伸びを示している。

 実際、家計調査で小麦製品の代表格であるパンとめん類の動向をみると、4月はパンが前年同月比2.0%減、めん類が同3.0%減と3月のプラスからマイナスに転じた。パンについては、食パンは同2.0%増とプラスをキープ、菓子パンやその他の製品の落ち込みが大きく「消費者の生活防衛意識が強く働いている」(ある食品会社の関係者)という。

 パンは朝食や夜食で食されるケースが多いため「とりわけ、朝食での米のご飯を食べる家庭が増えているようだ。ご飯は、それだけで食べることはあまりなく、ご飯周りの製品を手掛けるメーカーにメリットが生じる」(食品担当のアナリスト)ことから、お茶漬けやふりかけのほか、漬物、煮豆、つくだになどの需要が拡大している。

 カレー業界でも、大リーグのイチロー選手が朝食にカレーを食していることが注目されたことをきっかけに、「朝カレー」が認知され始めたことで、レトルトカレーを朝食向けに拡大させるプロジェクトを推進する動きもある。

 永谷園2899では「2─5月の間で、お茶漬け商品群は前年比20%増、チャーハンの素は同10%増を記録した」(広報担当者)という。フジッコ2908でも「煮豆が2月に前年比27%増、3月に17%増を記録。4─5月も10%前後の伸びとなった」(広報担当者)としている。

 ただ、ご飯周り製品のすべてが好調なわけではない。中には「他の商品が好調な中で納豆は低迷している。因果関係ははっきりしないものの、ねつ造報道に端を発した納豆騒動の後遺症も要因としてゼロとは言い切れない」(旭松食品2911の広報担当者)といった声も出ていた。

 そのほか、ご飯周り製品の好調の理由として、1月に起きた冷凍ギョーザ問題が影響しているとの見方や、消費者が生活防衛から外食を手控えたことも大きいといった分析もある。

 他方、ご飯周り製品は政策面でも追い風を受けている。政府が進める「めざましごはん」キャンペーンが、米消費拡大に貢献したとの見方が少なくない。

 「めざましごはん」は「ごはん」を主食とした日本の朝の食卓に注目し、朝ごはんの習慣化を広めていこうというキャンペーンで、昨年秋から農林水産省がスタートさせた。これについて農林水産省の総合食料局食糧部消費流通課では「朝食を抜く若者が多い現状を踏まえ、食育の観点から始めた。たとえば、20代男性の33.1%が現在朝食を食べないとの統計があるが、政府全体の食育計画で2010年度に、これを15%以下に引き下げる目標を立てている。できれば、そこで米のご飯を食べてもらうというのが狙いだ」としている。

 農水省では、若者の欠食率から「50億食」の朝食が未開拓のマーケットとして存在することを強調、そこで米の需要を増やすとともに、ご飯周り製品を手掛ける企業に対し、「めざましごはん」のロゴを商品に入れるなどの協力を求め、官民一体で朝食摂取度を高めることを目指しているという。

 これについて企業側からは「商品にロゴマークを入れキャンペーンに協力している。この効果も大きいのではないか」(大森屋2917の広報担当者)との声も出ていた。大森屋では、のり、ふりかけ、お茶漬け、和風スープなどご飯周り製品が前年比で2ケタのペースで伸びている。

 ただ、数量的なメリットは期待されながらも「小麦を使用する製品もあるため、原料高の影響が気になるほか、包装、物流費などの高騰も懸念される。これまでは見送っていた値上げも、検討しなければならない状況だ」(永谷園)と原料高はマイナス材料として避けて通れない。

 さらに、米の需要についても「現在は割安感があるが、米も販売価格が上昇すれば、その影響も出てきそうだ。価格の話は別としても、米の消費量が本当に底を打ったのかどうか見極めたい」(ある食品会社の関係者)といった指摘も出ていた。

 (ロイター日本語ニュース 水野 文也)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up