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ユーロの世界的需要が減少、ドルは依然基軸通貨=ECB報告書

 7月9日、ECBが発表した報告書によると、過去1年間のユーロ上昇でユーロへの世界的な需要が減少する一方、政府や金融機関がドル準備を増やした。写真は3月、トロントで撮影(2008年 ロイター/Mark Blinch)

 [フランクフルト 9日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)が9日発表した報告書によると、過去1年間のユーロ上昇でユーロへの世界的な需要が減少する一方、政府や金融機関がドル準備を増やした。

 ユーロの国際通貨としての役割に関する報告書のなかで、ECBは、恒常為替レートベースでみると、ユーロの使用は他の主要通貨と比較して減少したと指摘した。

 国際通貨基金(IMF)の最近のデータを分析した結果「世界の外貨準備に占めるユーロの割合は、2006年12月から07年12月にほぼ1%ポイント低下した」としている。

 アジアや中南米および産油諸国においてドルペッグ制を採用している国、あるいはドルを主要貿易通貨としている国々が、今後の問題に備えドルを買っていることを一因として挙げた。

 ただ、IMFのデータは約3分の2の国しか対象となっていないことから、全体像はつかみにくい。外貨準備の増加が目立つ中国が対象となってるかは明らかでない。

 ユーロの台頭にもかかわらず、ドルは依然機軸通貨としての地位を維持している。為替取引の86%超はドル対他の通貨の取引となっているのに対し、ユーロは37%、円は16.5%となっている。

 調査対象の1年間にユーロ/ドルは12%上昇した。その結果、ドルでの借り入れがユーロよりも魅力的となり、ドル建ての資金調達が増えているという。

 報告書はまた、政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド=SWF)の台頭が、外為に関する世界的なバランスの変化につながると指摘。SWFが管理する「過剰準備金」の40%が株式に、60%が債券に投資されると想定した場合、米国とユーロは資本流出に陥る可能性があるとしている。

 ユーロの使用は減少したもののユーロ圏外での流通量は大幅に増加し、全流通量の20%まで上昇した。主に東欧で増加しており、東欧への欧州諸国からの旅行者の増加や東欧でのユーロの需要増を反映している。

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