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原油価格下落でも企業は値下げに慎重、米経済への影響は限定的か

 [ワシントン 11日 ロイター] 急激に上昇した原油価格は最近、下落に転じているが、米経済への影響は限定的とみられている。今年に入っての燃料価格高騰を受け米航空会社は相次いで運賃値上げに動いた。

 8月11日、急激に上昇した原油価格は最近下落に転じているが、米経済への影響は限定的とみられている。写真は2006年8月に撮影した米ニューヨーク市街地(2008年 ロイター/Gary Hershorn)

 だが、原油価格が過去1カ月で1バレル=30ドル超下落したにもかかわらず、運賃引き下げは急がない姿勢を示している。

 ガソリン価格は1ガロン=4ドル以下に戻ったが、自動車業界は操業を停止した工場をすぐには再稼動できない。原料高を受け値上げされた玩具やシリアルもコモディティ価格下落に追随しないもようだ。

 カリフォルニア大学のエコノミスト、ジェームズ・ハミルトン氏は「物価上昇はときにリセッション(景気後退)と関連付けられるが、原油価格下落に伴って好景気になることはない」との見方を示した。

 原油価格下落は経済にとっては確かに、歓迎されるニュースであり、すでに米消費者信頼感や企業収益を押し上げる効果が出ている。

 原油価格の下落が続けば、消費が活発になり企業も採用を再開する可能性がある。ただ、それにはまず消費者や企業が、原油価格の下落が続くと確信する必要があり、それには時間がかかる可能性がある。

 <これまでの原油高による影響は長く続く可能性>

 今年1月から7月上旬にかけての原油価格高騰の際には投機の役割についての議論があったが、最近の原油価格下落の主因は世界の需要減退のようであり、これは経済全体にとって好ましいことではない。

 しかし、原油価格が147ドルのピークからの下落を開始した7月15日以来、S&P総合500種指数は8%上昇し、小売り株指数は22%上昇した。消費回復への期待感がうかがえる。

 ただ、カリフォルニア大エコノミストのハミルトン氏は、原油高による影響は長く続く可能性があると指摘。同氏は、2005年にはハリケーン「カトリーナ」や「リタ」の影響で原油価格が高騰、ガソリン価格は1ガロン=3ドルを上回ったが、消費者は一時的な現象だと受け止め、生活スタイルを大きく変えることはなかった、と話す。

 同氏は「現在は、これとは逆の認識だ。ガソリン価格が数カ月間下落したとしても、消費者はすぐに上昇すると考えている」と述べた。

 ロイター/ミシガン大学が調査した消費者信頼感指数によると、「カトリーナ」後の2カ月は今後1年間のインフレ期待が5.5%に加速したが、2005年11月までには4.1%に鈍化した。今年は、原油高を受けて1年インフレ期待は3月に急激に加速し始めたが、ガソリン価格が低下した7月にも5.1%と高止まりしている。

 <原油価格下落でも企業は値下げ急がず>

 原油価格の下落は企業の最終損益に反映される。配送業者からプラスチックメーカー、食品会社まであらゆる業種が今年、値上げを実施しているが、原油価格が下落しても値下げに動く気配はみられない。

 企業収益の向上は経済にとっては良いニュースだが、需要増加を確信するまでは、企業は生産拡大や雇用を開始しない。原油価格の下落だけでは、世界の需要鈍化や信用収縮といった問題は解決できない。

 航空会社は原油価格の高騰で最も大きな打撃を受けた業種の1つだ。航空各社は人員削減や便数の削減、運賃値上げなどで対応した。

 航空券検索サイト「フェアコンペア・ドット・コム」のリック・シーニー最高経営責任者(CEO)は、航空会社はこうした不人気な動きで、すでにイメージが大きく傷ついており、今になって値上げなどの措置を撤回する理由がない、と指摘する。同氏によると、米航空会社は今年15回の運賃値上げを実施、原油価格下落を受けてここ5週間半は値上げをしていないが、かといって値下げもしてはいない。

 同氏は「原油だけの問題ではない。ドルが下落し経済情勢も不透明だ。これらのうち1つでも航空会社の苦境の原因となる」と述べた。

 (ロイター日本語ニュース 原文:Emily Kaiser、翻訳:吉川彩)

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