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減税含んだ総合対策のばらまき色否めず、政策効果に疑問の声

 8月29日、自民党内の定額減税慎重論は最終局面で勢いを失くし、定額減税の年度内実施が公明党に押し切られる形で政府の緊急総合対策に盛り込まれた。写真は与謝野経済財政担当相。昨年8月撮影(2008年 ロイター/Michael Caronna)

 [東京 29日 ロイター] 「借金して減税して、国民の理解は得られるのだろうか」──。自民党内の定額減税慎重論は総合経済対策策定の最終局面で勢いを失くし、急転直下、定額減税の年度内実施が公明党に押し切られる形で政府の緊急総合対策に盛り込まれた。

 対策に伴う2008年度補正予算では赤字国債発行を回避しかろうじて財政規律が守られたが、今後検討される定額減税の規模や仕組み次第では、税収の減額補正に伴う第2次補正予算で赤字国債発行は必至で、緊急総合対策の「バラマキ」色は否めない。

 与謝野馨経済財政担当相は今回の対策を皮切りに、補正予算案の早期成立、抜本税制改革と来年度予算による税・財政措置を一体とし、「多段階ロケット方式」の切れ目ない対応による政策効果を狙った。

 しかし、その意図とは裏腹に、第1弾として打ち出された緊急総合対策の政策効果についてエコノミストの間では疑問の声が多く、ゴールドマン・サックス経済調査部チーフエコノミストの山川哲史氏は「景気浮揚に即効性のある施策はほとんど含まれていない。定額減税も一時的な減税にとどまり、消費に対する押し上げ効果は乏しい」と指摘する。

 小泉構造改革の最大の功績は「安易な財政出動を求める風潮がなくなったこと」(政府筋)。しかし、選挙風が強まる政治情勢の中で「プライマリーバランス改善はとん挫」(ゴールドマンサックス・山川氏)し、財政健全化の象徴的な意味をもつ「赤字国債発行回避」はいまや「風前の灯」となってしまった。

 与謝野担当相は、定額減税の年度内実施を盛り込んだものの、1)2008年度単年度の臨時異例の措置であること、2)規模・実施方法では財源を勘案すること、3)所得税体系や抜本税制改革と整合的であること──の条件を付け、資源高の影響を直撃する低所得者への配慮と財政規律を守ることとの両立を図った苦肉の策であることをにじませている。

 自民党内やエコノミストの一部からは、定額減税を実施しても、消費を押し上げる効果は小さいとの声が出ている。「借金までして減税をすることが可能かどうか議論してもらいたい」と与謝野担当相は、年末に結論を出す来年度税制改正の議論を通じ、定額減税の規模を圧縮させたいとの思惑がみえる。

 だが、総選挙に突入した場合の当落の行方を左右する堅い支持者を持つ公明の「定額減税」の主張が今回の対策で明文化されたように、年末の最終段階で公明党のプッシュで減税額が膨張する可能性も出てきた。 

 (ロイター日本語ニュース 吉川 裕子)

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