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麻生自民と小沢民主、エコノミストは景気対策が争点と予想

 [東京 22日 ロイター] 22日の自民党総裁選で麻生太郎幹事長が新総裁に選出され、21日には民主党の小沢一郎代表の3選が決まり、次の総選挙は麻生自民対小沢民主の政権をかけた対決の構図になった。

 9月22日、麻生自民対小沢民主の対決の構図になった次の総選挙。エコノミストは景気対策が争点と予想している。写真は都内で7月撮影(2008年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 麻生総裁は景気対策重視を掲げ、公明党の主張している定額減税の実現にも意欲を示し、小沢代表も子育て手当や高速道路無料化を含む22兆円の財源を駆使した新政策の実行を訴えている。こうした両者の政策メニューに対し、ロイターがエコノミストにその評価や総選挙での争点を聞いたところ、争点は景気対策の内容になるとの声が多く、どちらが勝利しても今後数年間は財政拡張的となり、小泉純一郎内閣以来の構造改革路線はいったん棚上げになるとの見方が台頭している。また、麻生氏の提唱する定額減税に対しては「消費押し上げ効果は無い」、小沢氏の子供手当などの具体策の財源について「絵に描いたもち」など厳しい意見も出ている。

 民間エコノミストが回答した争点とコメントは以下の通り(50音順)

  <日興グローバルラップ・シニアストラテジスト 一戸三千雄氏>

 ・争点:自民党政策への評価

 「自民」対「民主」という争点は無いとみる。「自民党の財政支出を含む景気対策」対「過去の同党への不信感」が争点となりそうだ。自民党は、小泉的な改革路線から一時は離れ、景気対策を優先させるだろうが、これは国民も受け入れよう。だが、対北朝鮮問題、年金問題など、政策課題はなに1つ解決しておらず閉塞感が出ている。

 一方、民主党の政策は、高速道路無料化とか子供手当てとか聞こえは良いが、実現の可能性が薄いことは国民も分かっているのではないか。

 <住友商事総合研究所・チーフエコノミスト 奥田壮一氏>

 ・争点:景気対策

 景気の減速感が強まる中、構造対策よりも足元の景気対策が焦点になる。麻生氏の言う公共投資を含む財政出動は地方でも受け入れられやすい。一方、小沢氏の言う高速道路無料化、子供手当てなどは大都市で受け入れやすい。景気対策として、麻生氏は地方に、小沢氏は都市部に焦点を当てるという違いは明確になるとみる。

 麻生氏の財源は国債で、プライマリーバランス黒字化が2011年以後に後ずれるのも仕方ないということだろう。小沢氏は、財源についていわゆる特別会計の埋蔵金と称する余剰部を活用するということで、財政規律を守ろうという意識は残っているようだ。

 <ニッセイ基礎研究所・シニアエコノミスト 斎藤太郎氏>

 ・争点:景気浮揚の手段

 短期的に景気を良くするとい点については同じだが、それをどういう形で実現するかの手段が違っている。麻生氏は景気重視で、短期的に赤字を増やしても財政出動するとの姿勢。小沢氏は無駄を削れば、財政出動しなくても大丈夫というスタンスだが、議論がかみ合うかどうかは難しいところだ。今までの自民党の構造改革路線からは、両者ともに一時離れることになる。

 <三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミスト 宅森昭吉氏> 

 ・争点:不明確 

 争点がぼけている感じがある。双方ともに、政策に大きなビジョンが無く、対症療法的だ。政策のマニフェストは似たようなものになるのではないか。小池対小沢の方が、対立軸がはっきりしただろう。

 麻生氏は、小泉元首相のの下でやってきたが、今は財政出動タイプになっている。政策の軌道修正が必要ということもあろうが、政策がぶれているのではないか。小沢氏も農家への補てんを言うなど、両者ともバラマキ的で、財源がはっきりしないイメージがある。

 小沢氏の方は、抜本的政策にみえるが、22兆円がねん出できるのか、予算を一から見直すようなことを言っているが、実際にそれができるのか疑問がある。麻生氏の言う定額減税は、1998年ごろの経験をみれば、1回やっただけでは、消費押し上げ効果は無いだろう。  

<ソシエテ・ジェネラル・アセット・マネジメント・チーフエコノミスト 吉野晶雄氏> 

 ・争点:年金問題

 年金がきちっと払ってもらえるか否か、公約通り、すべての人に年金特別便を送って、年金への不安が解消されるか否かが土台にある。その上で全額税方式にするのか、現状通り拠出と税の折半でやっていくのか、財源はきちっと確保できるのか、基礎年金の国庫負担の引き上げはいつできるのか、年金財政が健全化するのか──などが両者で議論されそうだ。実際の年金方式は税方式の方が取りはぐれが無く、良いのではないか。今後、自民が民主案に歩み寄る可能性もある。

 小沢氏の政策は、財源の裏付けがどう考えてもないので「絵に描いたもち」だというのは、皆分かっているのではないか。両者の今後2─3年の財政の方向性は拡張的だ。

 ◎麻生、小沢両者の経済政策の骨格は以下の通り:

 <麻生氏「日本の底力─強くて明るい日本を作る」の基本政策(骨子)>

基本政策:

 1.経済政策

  ・政策減税・規制改革で日本の潜在力を活かす成長政策をとる。

  ・先端技術開発を一層加速する。

  ・財政再建路線を守りつつ、弾力的に対応する。

  ・歳出の徹底削減と景気回復を経て、未来を準備する税制を作る。

 2.社会保障

  ・安定的な年金財源確保のため国民的議論を進める。 

 3.教育改革

  ・教員が一人ひとりの子供と向き合う環境を作る。

 4.地域再生

  ・守るだけの農業から外で戦う農業に転換する。

  ・食料自給率を引き上げ、日本の優れた農産品を輸出する。

 5.外交

  ・日米同盟を強化しアジアの安定を求める。

  ・拉致問題の解決を目指す。

 6.持続可能な環境

  ・成長と両立する低炭素社会を目指す。

  ・わが国が持つ環境・エネルギー技術を活かし、新しい需要と雇用を生み出す。

政治改革:

 1.徹底的な行政改革を行い、政府のムダを失くす。国の出先機関を地方自治体に移し   二重行政をやめる。

 2.地方分権の推進。その先に道州制を目指す。

 3.与野党間協議を一層促進し、国会審議を効率化する。

 4.自民党が内閣を支える機能を強化。

 <小沢氏「新しい政権の基本政策案」(骨子)>

 1.国民が安定した生活を送れる仕組み

    ・「消えた年金記録」は国が総力を挙げて正しい記録に直し、被害を救済する

    ・全ての年金制度を一元化し、年金の基礎(最低保障)部分は全額税で賄う

    ・後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度を一元化する

 2.安心して子育てと教育ができる仕組み

    ・子供1人当たり月額2万6000円の「子供手当て」を支給

    ・公立高校の授業料を無料化し、大学などの奨学金制度を拡充する

 3.まじめに働く人が報われる雇用の仕組み

    ・「働く貧困層」の解消に取り組む

    ・中小企業を財政的に支援したうえ、最低賃金の引き上げを進める

 4.農業社会を守り再生させる仕組み

    ・農業者への「個別所得補償制度」を創設し、農業経営を安定させる

    ・漁業についても、同様の所得補償制度の創設を検討する

    ・安全な食料を国内で安定供給し、食料自給率を高める

    ・地域の中小企業に対し税制面で研究開発や地域資源の活用を支援する

 5.国民の生活コストを安くする仕組み

    ・全国の高速道路を無料化し、物流コストを引き下げる

    ・ガソリン、軽油の暫定税率を廃止し、増税分を国民に還元する

 6.税金を役人から国民の手に取り戻す仕組み

    ・特殊法人、独立行政法人、特別会計は原則廃止する

    ・役人の天下りを全面的に禁止し、税気の無駄遣いを根絶する

 7.地域のことは地域で決める仕組み

    ・国の行政は国家の根幹に係わる分野に限定する

    ・国の補助金は全て廃止し、地方に自主財源として一括交付する

 8.国民自身が政治を行う仕組み

    ・国会審議は、国民の代表である国会議員だけで行う

    ・与党議員を100人以上、副大臣・政務官などとして政府の中に入れる

    ・政府を担う議員が政策・法案の立案、作成、策定を主導する 

 9.日本が地球のためにがんばる仕組み

    ・温室効果ガス排出量の半減に向け、省エネルギーなどを徹底する

    ・強固で対等な日米関係を築くとともに、アジア諸国と信頼関係を構築する

    ・国連の平和活動に積極的に参加すると同時に、国連改革を推進する 

(ロイター日本語ニュース 児玉 成夫記者;編集 田巻 一彦)

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