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米株式が急落、ダウの下げ幅は過去最大

 [ニューヨーク 29日 ロイター] 29日の米株式相場は急落し、ダウ平均の1日の下落幅は過去最大となった。世界的な金融市場の混乱を収束させるために不可欠とみられていた米金融安定化法案が下院で否決されたことで売りが膨らんだ。ダウ工業株30種は777.68ドル(6.98%)安の1万0365.45ドル。

 9月29日、米金融安定化法案の下院での否決を受け米株式が急落、ダウの下げ幅は過去最大。ニューヨーク証券取引所の外にで、トレーダー(2008年 ロイター/Shannon Stapleton)

 ナスダック総合指数は199.61ポイント(9.14%)安の1983.73。S&P総合500種は106.59ポイント(8.79%)安の1106.42。

 この日1日のダウの下落率は1987年10月以降で最大。S&Pの下落率も21年ぶりの大きさで、ナスダックの下落率は2000年4月以来の大きさだった。

 下院で金融安定化法案が否決されたことを受けて市場の懸念が一段と高まり、投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー(VIX)指数は一時39%上昇し、48.40とほぼ6年ぶりの水準をつけた。終値は46.72。

 世界最大級の資産運用会社、ブラックロックのボブ・ドール最高投資責任者(CIO)は「衝撃を受けている。金融安定化法案が可決されるとみられていたときでさえ、クレジット市場は苦戦していた。法案が否決されたことで、また大きな悪材料が出てきた」との見方を示した。

 金融サービス株指数は16%安で取引を終了した。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)BAC.Nが17.6%下落したほか、ゴールドマン・サックス・グループGS.Nは12.5%下落。

 ベル・カーブ・トレーディングのパートナー兼チーフマーケットストラテジスト、ビル・ストラズロ氏は「短期的に市場は打撃を受ける。ただ、より重要なことは、新たな下落局面に入りつつある可能性があることだ。S&Pは1000まで下がるかもしれない」と述べた。

 ワコビアWB.Nは、米連邦預金保険公社(FDIC)の仲介で資産の大半をシティグループC.Nに売却することになった。また欧州当局はこの数日、英国、ベルギー、ドイツなどの銀行の救済に動いており、金融市場の混乱が各地に広がっている。

 世界の主要中央銀行は、流動性改善のため大量の資金供給を行っているが、短期金融市場は依然、機能不全の状態が続いている。

 金融安定化法案の効果については一般に懐疑的な見方も強いが、投資家は、金融市場の信頼感回復には必要な第一歩とみている。

 スウォースモア・グループのポートフォリオマネジャー、カート・ブルナー氏は「どんな措置をとろうとも、問題がすべて解決されるとは思わないが、何もせずにただ看過するのは良くないことだ。金融市場の動きはこうした見方を反映している」との認識を示した。

 ハイテク株も売られ、アップルAAPL.Oは18%安。複数の証券会社がアップルの目標株価や投資判断などを引き下げた。グーグルGOOG.Oは一時2年ぶりの安値をつけ、11.6%安で終了した。

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