[ワシントン/ニューヨーク 29日 ロイター] 米下院本会議が29日、7000億ドルの金融安定化法案を否決したことを嫌気して各国の株式市場が急落。ダウ工業株30種は過去最大の下げ幅を記録した。
ナスダック総合は9%強下落。2000年のITバブル崩壊後最大の下落率となった。中南米諸国の株式市場は13%下落し、過去10年余りで最大の下げとなった。
下院での採決を前に、危機拡散への懸念を背景にアジアと欧州の株式市場はすでに下落していた。一方、米地銀ワコビアWB.Nが米連邦預金保険公社(FDIC)の仲介でシティグループC.Nに買収されることが決まった。
各国の中央銀行が銀行に貸し出しを促すために金融システムに数千億ドルを注ぎ込んでも、世界の短期金融市場は機能不全の状態が続いている。
テミス・トレーディングの共同取引マネジャー、ジョー・サルーツィ氏は「市場の不安は途方もなく膨れ上がり、世界中に拡散している。もはや、米国だけの問題ではない」と述べた。
下院本会議は29日、金融安定化法案を反対228票・賛成205票で否決した。特に共和党議員が11月4日に迫った大統領選を前に巨額の公的資金の投入に難色を示した。
スタンダード・ライフの上席株式トレーダー、スティーブン・バーティ氏は「解決策にたどり着けなかったとは信じ難い。法案が成立しない場合に極めて悲惨な状態になることは予想されていた」と述べた。
投資家は、安全な資金の逃避先とみなされている資産に殺到した。
国債や金の価格が急伸する一方、原油価格は下落。金融危機が経済活動を抑制して世界的に需要が減少するとの見方から、原油先物は1バレル=99ドルを割り込んだ。