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日銀短観で足元の悪化確認、輸出・IT株関連に落ち込み懸念

 [東京 1日 ロイター] 9月の日銀短観が2003年6月以来のマイナスとなったことで、株式市場では足元の景気実態が悪化していることを確認し、企業業績に対する不安感を一段と強めている。

 10月1日、9月の日銀短観が2003年6月以来のマイナスとなったことで、株式市場では企業業績に対する不安感を一段と強めている。写真は2005年10月に東京都内で撮影した株価ボード(2008年 ロイター/Toru Hanai)

 現時点で最大の関心事になった米金融問題について、解決の方向が見えたとしても、米経済や世界景気が金融面からの打撃を受けて、さらに悪化する懸念が広がっているためだ。輸出依存度の高い日本経済にとって、外需の失速は企業業績の悪化に直結する。マーケットでは輸出関連や、金融不況の影響が大きいとみられるIT関連などの落ち込みが予想されている。

 短観の大企業製造業・業況判断指数(DI)はマイナス3となり、前回の6月短観から8ポイント悪化したものの、市場予想のマイナス2を若干下回った程度で、予想の範囲内で収まったとみる関係者が多かった。

 ただ、今回の短観の実施日はリーマン・ショック以前に行われたとみられることから「足元の金融混乱が十分に反映されていない可能性が高い。その点は割り引いて考える必要があり、12月短観については9月短観での先行きが示す姿よりも一段と悪化することが考えられる」(JPモルガン・チーフエコノミストの菅野雅明氏)との声が出ており「あらためて景気実態が悪いことを確認する形になった」(UBS証券・チーフストラテジストの道家映二氏)という。

 株式市場では、米議会で金融安定化法案の修正案が通過するなど、金融問題がある程度落ち着いた場合、リバウンド相場に向かうとの期待がある。しかし「金融問題の注目度が高いために忘れられがちだが、今回の株価下落は世界的な景気の落ち込みも要因となっている。片方の懸念材料が後退しただけは、本格的な上昇は望みにくい」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)との声もあった。

 1日の東京株式市場は、日経平均が中盤から伸び悩む展開になったが、これに関して「金融安定化法案の修正案が通過するまで様子をみたいとの気分もあるほか、企業業績の悪化懸念も参加者の姿勢を慎重にさせている」(中堅証券幹部)との指摘もある。

 日銀によると、大企業の業況判断で悪化幅が大きかった業種は、製造業では一般機械、精密機械、非鉄金属、木材・木製品、電気機械、自動車など、非製造業ではリース、不動産、情報サービス、電気・ガス、対事業所サービスなどだった。製造業では、これまで外需によって国内景気を支えていた分野の悪化が目立っている。

 実際、9月25日に発表された8月貿易収支は、3240億円の赤字に転落、正月休みで輸出が低水準に推移する傾向がある1月を除くと、赤字になったのは26年ぶり。さらに日本自動車工業会が30日発表した8月国内自動車生産台数は、前年比10.9%減の76万9829台で13カ月ぶりに前年実績を下回るとともに、輸出台数は同2.2%減の49万6735台で37カ月ぶりに前年実績を下回るなど、統計上では外需の厳しさが浮き彫りになっている。

 これについて国内系生保投信の運用担当者は「米国発の金融不安から世界的に不景気になったことで、輸出型産業が景気のリード役から下りる可能性が出てきた。日本株を運用上でみると、外需に依存する電機や自動車に偏ったポートフォリオを組むリスクは大きい」と指摘していた。

 非製造業では情報サービス業、ITビジネスの今後を不安視する向きが増えている。景気悪化に関して「金融業界の破たん・統合がオフィス不況を引き起こす。とりわけ欧米でオフィス向けビジネスを展開している企業は、注意が必要になってくる」(エース証券・専務の子幡健二氏)という。

 現在の金融業界は、高度な金融工学がビジネスに不可欠で、それをサポートしていたのがIT産業だ。そのため半導体、パソコンからソフトウエアまで幅広い意味でのIT産業が、金融機関の破たん、業務縮小などによって打撃を受ける可能性が生じてきた。

 ピクテ投信投資顧問・ヘッドトレーダーの小野塚二也氏は「金融業界ほどシステム投資に資金を投じる業界は見当たらない。金融業界が業務の見直しに動けば、IT業界に影響が及ぶのは時間の問題となる」と指摘する。

 だが、日本株については悪い話ばかりでもない。製品価格の値上げ浸透や、原油をはじめ商品市況の下落による原料安効果で、収益が上向いている企業も少なからずある。

 30日にコープケミカル4003.T、神戸製鋼所5406.Tが2009年3月期の業績見通しを上方修正したが、いずれも製品価格の値上げが収益に貢献した。コープケミカルは、従来予想で減益見通しだったのが一転して大幅増益予想となったことが好感され、1日はストップ高比例配分で大引けた。

 市場では「原油をはじめ商品価格の下落による原料安メリットは、ここから徐々に効いてくる。これが大きい銘柄が当面の物色対象になりそうだ」(中堅証券幹部)との声が出ている。

 (ロイター日本語ニュース 水野 文也)

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