[東京 6日 ロイター] 週明け6日の東京株式市場で株安が一段と加速。世界的な金融不安と景気悪化の「負の連鎖」が止まらず、日経平均は一時500円を超す下落、TOPIXは2003年12月以来の1000ポイント割れを記録した。
米国発の金融システム不安は欧州に飛び火し、海外勢のリスク許容度は急速に低下。短期市場のタイト化などで流動性がひっ迫した海外投資家を問答無用の換金売りに駆り立てている。
<株からの資金回収急ぐ海外勢>
「海外の投信、年金、ヘッジファンドなどが一斉に売りを出した。株式市場はかつてない需給悪に圧倒されている」(大手証券)との悲痛な声が出ている。朝方から銀行、鉄鋼、ハイテクなどの主力株に海外勢の大口売りが浴びせられ、日経平均は抵抗感なく下げ足を速めた。海外勢は世界の株式市場から資金の回収を急いでいる。株安は東京市場だけでなく、香港、上海、韓国、インドなどにも広がった。
米金融安定化法案が成立したものの、市場ではその実効性を疑問視している。欧州金融機関の相次ぐ国有化や米大手金融機関の資金繰り懸念など欧米での金融不安は根強く、海外投資家のリスク許容度が低下している。「年末にかけて欧米の短期市場はさらにタイトになるとの観測もあり、ファンド勢は現物を売却して解約売りに備えざるを得ない」(外資系証券)と、マーケットの一段の機能悪化を見込む声が台頭している。11月はヘッジファンドの決算シーズンでもあり、45日前告知ルールの制約上、10月中旬にかけて解約に備えた売りも出やすいとみられている。
米証券取引委員会(SEC)による空売り規制の弊害を指摘する声もある。「ロング&ショート型ヘッジファンドは買いのポジションも閉じざるを得ない。規制が続くとロング&ショートのビジネスモデルが崩れ、現金化の動きが強まる」(米系証券)という。実際、この日は後場に入ってヘッジファンド解散のうわさも下げ要因になった。
<円高が日本株をさらに圧迫>
3日発表の9月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、あらためて米景気の深刻さを印象付けた。米国では減税効果の切れる今後の経済指標も厳しい内容になると予想されている。「世界の実体経済は猶予がなく、米国景気は後退入りの可能性も出てきた」(日興コーディアル証券・エクイティ部部長の西広市氏)とみられている。
次の焦点は欧米での緊急利下げだが「急激な円高が進めば、国内の企業業績に一段の悪化懸念が出る」(同)だけに国内株には好材料とは言い切れない。為替相場は6日、ドル/円が一時、103円割れするまで円高が進み、輸出関連株の下押し圧力になった。
三菱UFJ証券・シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏は「市場は企業業績の悪化を本格的に織り込みつつあるようだ。日経平均が1万円を割り込めば、今期の3割減益を織り込むことになる。しかし、かなり厳しい前提を織り込むことになるが、海外勢などの需給要因に不透明感があり、株価の底値はみえにくい」と話している。