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焦点:米経済にデフレリスク、FRBも警戒か

 [ワシントン 19日 ロイター] 市場関係者の間で、商品価格の下落を受けて米国でデフレが発生するリスクを指摘する声が出ている。米国では連邦準備理事会(FRB)の利下げで中・長期的にインフレが進む可能性が指摘されているが、今後はデフレリスクも視野に入れた政策運営が必要になってくるとの見方が多い。

 10月19日、市場関係者の間でFRBはデフレリスクも視野に入れた政策運営が必要になってくるとの見方が多い。写真はバーナンキFRB議長。7月撮影(2008年 ロイター/Jason Reed)

 FRBは金融危機対応で政策金利を1.5%に引き下げたほか、1兆ドルを超える資金を金融市場に供給、FRBのバランスシートは大幅に膨張し、マネーサプライも急激に伸びている。

 FRBが市場の予想通り追加利下げに踏み切れば、長期的にインフレ圧力が高まる可能性はあるが、現時点では、こうした金融緩和がデフレに対する有効な保険になるとの見方が多い。

 デフレ局面に入れば、企業や消費者は一段の物価下落を見越して支出を抑制する。債務の実質返済負担も増えることになる。 

 商品市場では、世界的な景気後退に対する懸念から原油価格が急落、7月につけた過去最高値の1バレル=147ドルから先週は70ドル付近まで下落した。

 インフレ期待も大幅に低下している。インフレ期待の指標となる10年物国債と物価連動債の利回り格差は、3カ月前の270ベーシスポイント(bp)から90bpまで縮小した。

 MKMパートナーズのチーフエコノミスト、マイケル・ダーダ氏は「債券市場はインフレよりもデフレを気にしている」と指摘。

 コーンFRB副議長も、商品価格の下落で総合インフレ率が大幅に鈍化するとの見通しを示している。

 バークレイズ・キャピタルの米国担当チーフエコノミスト、ディーン・マキ氏は、米消費者物価指数(CPI)上昇率が、来年7月までに前年比でゼロもしくは小幅なマイナスになると予測している。

 <複雑な政策対応> 

 市場関係者の間では、食品とエネルギーを除くコアインフレ率が低下しない限り、FRBがデフレを過度に懸念することはないとの見方が多い。

 ただ、景気の低迷が続き、コアCPI上昇率が総合CPI上昇率につれてゼロ%付近まで低下すれば、FRBが懸念を強める可能性がある。

 日本経済は90年代初めの不動産・株式バブル崩壊後にデフレ局面に入ったが、一部のアナリストは、米国も住宅バブル崩壊を契機にデフレに突入するリスクがあると指摘する。

 デフレのリスクが高まれば、金融緩和の転換時期が難しくなり、FRBが政策判断を誤る恐れも出てくる。

 ケイトー研究所のシニアフェロー、ウィリアム・プール氏(前セントルイス地区連銀総裁)は「日本のようなデフレが米国で起きる可能性は低い。今後1─2年はインフレの心配もないとみられる。ただ長期的な見通しには不安が残る」と述べた。

 2003年にグリーンスパン前FRB議長はデフレを回避するため政策金利を1%まで引き下げ、1年間金利を据え置いた。市場では、この低金利が住宅バブルの温床になったとの声が多い。

 FRBは当時も、日本の経験を参考に政策運営を進めていた。ただ、現時点では信用収縮で投資家の資金調達が難しいため、新たなバブルが発生する可能性は低いとみており、こうした見方を前提に積極的に市場への資金供給や金融緩和を進めている。

 ダーダ氏は「FRBが(流動性対策や利下げといった)対策をとらなければ、デフレに突入する可能性が十分にある。世界各国の中銀は、紙幣を増発するという有効なデフレ対策を知っている」と述べた。

  (Alister Bull記者;翻訳 深滝壱哉) 

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