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金融危機、日銀の緩和政策が影響も=山口副総裁候補

 [東京 21日 ロイター] 山口広秀日銀副総裁候補(現・日銀理事)は21日午後、参院議院運営委員会における所信聴取後の質疑応答で、今回の金融危機の背景として、日銀の緩和政策が影響を与えた可能性は否定できない、との認識を示した。

 10月21日、山口日銀副総裁候補は日銀の緩和政策が金融危機に影響を与えた可能性は否定できないとの認識を示した。写真は日銀本店。昨年2月撮影(2008年 ロイター/Issei Kato)

 国内金融政策運営については、リスクファクターは上下にあるとし、経済・物価情勢を見極めながら判断していく、と従来の日銀の方針を繰り返した。

 山口副総裁候補は、協調政策のあり方に関して、協調を求められても必要のない政策を行うことはない、と断言。その上で、米欧など主要中央銀行による協調利下げに日銀が参加しなかったことについては、金融政策は各国が経済情勢に応じて判断するもので、日銀としては利下げには至らなかった、と理解を求めた。

 <金融危機、緩和政策が影響も>

 山口副総裁候補は、今回の金融危機と日銀の金融政策との関連について「(日銀は)長年にわたって緩和政策を行ってきたが、その一つの副作用として円キャリートレードのようなものを生み出し、それが何がしか海外市場に影響を与えたのではないかというようなことが言われている」と指摘。その上で「実際に定量的に把握することは難しいが、そういった面で日銀の緩和政策がひょっとすると何がしかのインパクトを与えた可能性は否定できない」との認識を示した。

 <金融政策は各国が判断すべきもの>

 米欧など主要中央銀行による協調利下げに日銀が参加しなかった理由については「日本経済は当面停滞を続ける状況にあると思うが、一方で、リスクファクターは上にも下にもちらばっているという状況だ」と説明。「したがって、日銀としては、経済・物価の状況を十分見極めながら必要な政策判断を行い、必要な対応をとっていくということに尽きる」と理解を求めた。 

 協調利下げを求められたらどうするかとの質問に対しては「各国から、あるいはどこかの国から協調を求められて、何らか必要のない政策を行うというような判断に至ることがあるかといえば、そういったことはない」と断言した上で「金利政策は各国が置かれた経済環境を踏まえて判断すべきもの。日銀としては利下げ判断には至らなかった」と重ねて説明した。

 <金融政策はマクロ的な観点から> 

 一部に家計に配慮した金融政策を行うべきだといった声がある。これについて、山口副総裁候補は「金融政策はマクロ的な観点に立って行うもの。家計にしろ、企業にしろ、所得分配について金融政策的に配慮して行うべきものではない」と否定的な考えを示した。

 企業金融環境に関しては「足元の企業金融をめぐる環境は、少しずつ緩和度合いが後退してきている。特に、中小・零細企業だとか一部産業を中心に金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなっているという声が増えている」と警戒感を示した。

 (ロイターニュース 志田義寧記者)

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