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FRBの追加金融対策、量的緩和に踏み込んだ新たな一歩か

 [シカゴ 25日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が25日発表した追加金融対策は、FRBのバランスシートをさらに膨張させることになるが、アナリストらは今回の対策について、量的緩和という異例の政策領域に踏み込んだ新たな一歩と解釈している。

 11月25日、FRB(写真)の追加金融対策は量的緩和に踏み込んだ新たな一歩か。1月撮影(2008年 ロイター/Kevin Lamarque)

 FRBは政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)FNM.NFNM.N、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)FRE.NFRE.N、連邦住宅貸付銀行(FHLB)が発行した債券を最大1000億ドル買い取るほか、ファニーメイ、フレディマック、連邦政府抵当金庫(ジニーメイ)が保証する住宅ローン担保証券を最大5000億ドル買い取ると発表した。

 さらに財務省と連携し、中小企業や個人向けローンを裏付けとした証券の保有者に最大2000億ドルの貸し出しを行う方針だ。 

 米商務省が同日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)改定値はマイナス0.5%と、金融危機の影響を受けて7年ぶりの大幅な落ち込みを示した。

 BNPパリバ(ニューヨーク)のエコノミスト、ブライアン・ファブリ氏は「機能がほぼ停止状態にある資本市場の建て直しに米政府は真剣に取り組んでいる」と指摘した。

 FRBは今回の対策の目標について、与信機会の拡大と住宅ローンコストの引き下げを挙げている。対策発表を受け、期間30年の米住宅ローン金利は25日に急低下した。

 ゴールドマン・サックスのエコノミストらは対策について「新規資金を必要としている分野に資金を導く一方、FRBの総準備をさらに膨らませる」と解説した。

 2つの新たな対策はさらに、FRBが貸し渋りを続けていた銀行の頭越しに産業界にほぼ直接資金を供給することを意味する。

 ゴールドマンは個人向け金融を支援する取り組みについて「FRBが消費者への直接資金貸し出しに一番近づいた政策といっていい」と指摘した。 

 今回の対策が量的緩和という不透明な領域にFRBが足を踏み入れていくことを意味しているかどうかについては意見が分かれている。

 FRBの今回の発表を受け、ディーラーの間では12月15─16日と1月27─28日に開催される今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBの最重要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が現行の1.0%からゼロに近い水準に引き下げられる新たな材料との見方が広がった。

 4キャスト(フォーキャスト)のアナリスト、ルディ・ナーバス氏は「より積極的な量的緩和に向けた新たな一歩との解釈だ。それに従えば、FRBは一段の利下げを実施する必要がある」と語った。

 短期金利先物市場では、年末までにFF金利が0.25%に引き下げられる確率が24日終盤の18%から44%に上昇した。 

 新たな対策は、サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁が10月30日に言及した3兆ドルの水準近くまでFRBのバランスシート上の資産が膨れ上がる可能性も示唆している。

 ゴールドマンのエコノミストは「今回の対策でFRBのバランスシートがさらに8000億ドル拡大する可能性がある。現在の約2兆ドルの規模と比べかなりの額だ」と指摘した。 

 <量的緩和は再定義が必要か>

 イエレン総裁やコーンFRB副議長を含むFRB高官らは、過去1カ月に量的緩和がFRBの政策手段に加わったことを認めている。

 しかしFRBの数ある政策措置の中で具体的にどの措置が厳密に量的緩和と呼べ、またそう呼べることが重要なのかどうかについては依然答えが出ていない。

 CMCマーケッツUSの首席為替ストラテジスト、アシュラフ・ライディ氏は、FRBの最新の「流動性対策」は量的緩和の「新たなランドマーク」だと指摘する。「FRBのバランスシートは日銀の量的緩和政策に追随する軌道上に乗っている」という。

 ただ米当局者らは25日、今回の新しい対策は1990年代に日銀が実施した量的金融緩和と同じではないと記者団に説明。今回のケースでは、特に金融機関の姿勢を貸し出しにシフトさせるため銀行システムの資金を増やしたわけではないと指摘した。

 しかし一部のFRBウオッチャーは末節にはこだわらず、日本の例だけが量的緩和の唯一の定義なのかどうか、またそうであるべきかどうかを問いかけている。

 従って、FF金利がゼロ付近にとどまっている限り、金融市場の安定化と景気支援を目指したFRBのほぼいかなる措置も、量的緩和の一種とみなせる可能性があり、25日の対策が恐らく最後ではないだろう。

 4キャストのナーバス氏は「基本的に、FRBはGSE市場の最高10%まで買い取ることができる。いずれ、FRBによる米国債や恐らく社債の買い入れに発展するとの観測が出ている」と指摘した 

 (Ros Krasny記者、Mark Felsenthal記者;翻訳 関佐喜子 ;編集 石田仁志)

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